今回は筆者が独断で選んだ、邦楽ロック界で活躍中の三大ギタリストを紹介しよう。
筆者もギタリストなので相応のこだわりがあるが、上手いギタリストは挙げ始めればキリがないため直接的なプレイで判断することは少ないかもしれない。それよりも佇まいや出している音に惚れるパターンが多いかなと思う。
瀧川一郎
瀧川一郎(たきがわいちろう)
1968年1月5日生まれ。
1984年 - D'ERLANGERのギタリストCIPHERとして初めてステージに立つ。
1990年 - D'ERLANGERがメジャーデビューするも同年突然の解散。
1992年 - 本名の瀧川一郎名義でBODYを結成。
1994年 - BODYで再びメジャーデビューするも半年で突然の解散。同年、CRAZEを結成する。
1995年 - CRAZEで再々デビューを果たすが、ボーカル交替や脱退など紆余曲折を経て、2006年にCRAZEが解散。
2007年 - 17年ぶりにD'ERLANGERを再結成させ、CIPHERを名乗り活動中。
どんなギタリストなのかライヴ音源をお聴きいただこう。
おわかりいただけただろうか?
瀧川一郎はめちゃくちゃギターが下手なのだ。
音源ではそうでもないのだが、ライブになると本当に酷い。正直スキルに関していえば、最近の大学生の方が数十倍上手いのではないだろうか。
そんな瀧川一郎のどこに魅せられているのかというと圧倒的な存在感と華である。
彼がバンドに居るだけでバンド全体が不思議と華やぐのだ。
筆者は「ロック」という存在そのものに"非現実"を求めている部分もあるのだが、瀧川一郎は私を非現実にいざなってくれる。
キラキラしていて、なんだか近寄りがたくて、いわゆるステレオタイプのロックスターに憧れるのだ。映像を観ていただいた「D'ERLANGER」というバンドは、ヴィジュアル系黎明期から活動していた大ベテランのV系バンドだが、キラキラしているというのはそういった意味ではない。
"となりの家のお兄ちゃん"的ではない、絶対に手の届かない存在。
ロックスター然としたまぶしい存在感が私をいつもドキドキさせてくれる。
プレイがどうこうの次元ではなく彼がギターを弾いているだけで胸が高鳴る。
もっといえばギターを構えて立っているだけでも良い。
ジャイアント馬場がリング上に立っているだけで、ファンが歓声をあげてしまう、あの感覚に似ているかもしれない。
既述したように、ギタースキルはお世辞にもうまいとは言えない。これは彼を崇拝しているファンでも認めざるえない事実だ。
コードを一発鳴らすだけで瀧川一郎だとわかる個性的な音を出す。
その音には、まるで魂が宿っているかのような鬼気迫る迫力があるのだ。
熱狂的なファンだからそう感じるだけかもしれない。
でも私の中ではその感覚がたしかに存在しており、これ以外の言葉では形容できないのである。
いずれにせよ、ファンの戯言であるのはたしかだが、これ以上行くと宗教のようになってしまうのでこの辺りで締めておこう。
屍忌蛇
屍忌蛇(しいじゃ)
1966年6月4日生まれ。
1993年 - Gargoyleのギタリストとしてメジャーデビュー。同年脱退。
1997年 - アニメタルに加入。アニメタル活動休止中の2000年AIONのNOVらと共にVOLCANOを結成。
アニメ「けいおん!」の劇中バンド「DEATH DEVIL」のギターを担当。
2015年 - 再結成したかまいたちにライヴサポートギターとして参加。
現在は先述のVOLCANOを中心に活動中。
曲を聴いてみていかがだっただろう。
メタルに造詣が深い読者さんなら共感してもらえると思うが、屍忌蛇はめちゃくちゃカッコいいリフを生み出すのだ。
私の中で邦楽メタルナンバーワンギタリストは屍忌蛇である。
異論反論あるかと思うが、何を言われてもこの考えは揺るがないだろう。
それくらい彼のギターには心酔している。
屍忌蛇の在籍していたGargoyleは先程の瀧川一郎同様、ヴィジュアル系バンドの先駆的存在である。また、HR/HMシーンの第一人者と言われている。
筆者はVOLCANOで屍忌蛇を知ったファンであり、Gargoyleは完全なる後追いなのだが、一貫して独自のメタルサウンドにこだわっている。時代によってサウンドの質感は異なるがプレイスタイルは大きくぶれていない印象だ。
インパクトを残すキャッチーなリフを生み出すセンスは現在もまったく衰えていない。キャリアの長さを考えると、とてつもない才能だと思う。
リフ以外で屍忌蛇を語る際にはずせないのが泣きのメロディである。
時に"演歌"ともいわれる哀愁のギターフレーズだ。
メタルといえば長いギターソロがデフォルトだが、屍忌蛇のギターソロは泣きに泣きまくり、もはや慟哭のようである。パワーコードをからめたヘヴィなリフからも"泣き"の要素が感じられるが、単音フレーズには敵わない。
デスラッシュとも形容できるハードな楽曲の中に、屍忌蛇独自の哀しげな旋律が加わることで、唯一無二のメタルミュージックを生み出している。メロデスにも同じように哀愁を感じる部分があるが、それとも違う、屍忌蛇にしか鳴らせない完全なオリジナリティを確立している。
今後もこの路線で日本のメタルシーンを引っ張っていってもらいたい。
小林太郎
小林太郎(こばやしたろう)
1990年6月26日生まれ。
2008年 - テレビ番組「ストリートファイターズ」の企画に「小林太郎とマサカリカツイダーズ」名義で優勝。
2009年 - ソロ活動開始。
2011年 - 現:Walkingsの吉田隼人(ベース)・高田風(ギター)・高梨貴志(ドラムス)をバンドメンバーに迎え「小林太郎とYE$MAN」として活動開始。
2012年 - 再びソロ活動を開始し、同年メジャーデビュー。
2018年 - 自主レーベル「MOTHERSMILK RECORD」を設立し、インディーズで活動中。
小林太郎はシンガーソングライターだが、私の中ではギタリストとしての評価も高い。
小林太郎の音楽性は、ハードロックを軸に、グランジやガレージの要素を混ぜた、極めて男臭いものだ。このサウンドを今の時代の日本で鳴らしているという所に、たまらなく惹かれている。ソロアーティストでこんな音を出しているのは、おそらく彼くらいのものだろう。
いってみれば流行とは正反対というか、今後も流行ることがないであろう音楽性だ。間違っても邦ロック好きのサブカル女子が飛びつくことはない。
基本的に、粗めの粒立ちで野太いアメリカンなサウンドを信条としており、どの曲も音圧がすさまじい。要するに筆者好みの音ということだ。
とはいえ、いわゆるハードロック一辺倒というわけでもなく、繊細なカッティングを駆使したオルタナ系のサウンドもそつなくこなす。
2020年は10周年イヤーだったのだが、キャリアの中ではダンスミュージックに傾倒した時期もあり、打ち込みとの親和性も証明して見せるなど、幅広い音楽性はギタープレイからも感じることができた。
小林太郎の楽曲はボーカルが目立つものが多いのだが、同時にギターサウンドも激しく主張してくる。単純にレコーディングで音を弄っているというのもあると思うが、もっと根源的な「ロックしてます!」的なものを感じるのだ。
・・・何といえばよいのか、いい意味でロックの押しつけというか、「つべこべ言わず聴けばいいんだよ!」と言われているような、妙な説得力をもったサウンドというか。
この自信満々なサウンドは、小林太郎が自身の音楽性に一切迷いが無いからだと最近思うようになった。
"小林太郎"という存在全てを音に乗せリスナーに全力でぶつけるかの如く。
私はそんなサウンドに心地よく打ちのめされている。
おまけの番外編
まとめ
ギタリストの紹介というか、結局はファンの気持ち悪い戯言になってしまった。
それもこのブログらしいといえばらしいのかもしれないが。
いつか海外のギタリスト編も書いてみたいと思う。あとベーシストも。
それではまた。
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