伝説の一発屋邦楽バンドたち/ワンヒットワンダー【100万枚以上の売上】
『一発屋』とは、ある一時期のみ活躍を見せた歌手、映画監督、芸人、作家、スポーツ選手などを表した呼称。
音楽界で「一発屋」といえば、近年では「ワンヒットワンダー」などとも呼ばれ、再評価されている部分もある。
だが一般的には馬鹿にされたり、時には蔑みの対象だったりもする。
ここで考え方を少し変えてみよう。
世の中には、一発も花火を上げられず、儚く散っていったバンドも数え切れないほど存在する。
一発屋にもなれなかったアーティストに比べたら、たとえ一発でもどデカい花火を打ち上げたのだから、称賛されるべきだと思う。
ということで、当稿ではそんな愛すべき一発屋の邦楽バンドを、彼らの代表曲と共に紹介していく。
今回は、ミリオン(100万枚)以上の売上を達成した一発屋バンドから選出しています。
ちなみに、ニュース等で「ミリオン達成」と言われている物は、ほとんど出荷枚数を基準に計算されており、実際の売上が100万枚に届いていないバンドも含まれます。
愛すべき一発屋バンド
一発屋バンド:THE虎舞竜「ロード」
まずはTHE一発屋のTHE虎舞竜である。
1993年にリリースされた「ロード」が220万枚という驚異の大ヒットを記録。
現在もカラオケで頻繁に歌われる人気曲で、噂ではカラオケ等の印税だけで年間1200万円入ってくるそうだ。
THE虎舞竜は高橋ジョージ(Vo)のお騒がせニュースばかりが世間を騒がせていたが、ロードは掛け値なしに名曲である。
ちなみにロードの売上印税は22億円と言われている。
しかし浪費癖のあった高橋は、元妻である「三船美佳」と出会った97年の時点で手元に500万円しか残っていなかったそうだ。
高橋ジョージいわく、六本木の店で一晩に6000万円を使うなどとにかく豪遊しまくり、わずか4年あまりで22億円のほとんどを使い切ったそうだ。
まさにロックンローラーである。
一発屋バンド:L⇔R「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」
フジテレビ系ドラマ『僕らに愛を!』の主題歌としてタイアップされていた楽曲。
チャートでは軽々1位を獲得し、約134万枚を売上げる大ヒットを記録した。
フロントマンである黒沢健一が2016年逝去したことに伴い、現在は事実上解散。
世間的には一発屋のイメージが強いが「HELLO, IT'S ME」「BYE」「GAME」など、本作以外にもいくつかスマッシュヒットさせている。
また、ヒット曲に代表されるようなJ-POP然とした作風のおかげで、「L⇔Rはポップバンド」といったイメージも着いてしまっているが、実はかなりマニアックなサウンドを鳴らすバンドである。
一発屋バンド:Something ELse「ラストチャンス」
日本テレビ系列の番組「電波少年」の企画で一躍時の人となったSomething ELse。
その企画というのが、3か月間メンバー3人で1つの部屋にカンヅメ状態となり楽曲を制作。
出来上がった曲を次のシングルとしてリリースする。
だがリリースするには厳しい条件があった。
シングルがオリコン初登場20位以内に入らなければバンドは強制的に解散。そして、音楽以外の職種に転職しなければならなかった。
それまで鳴かず飛ばずのバンドにとっては極めて過酷な条件だったのだ。
結果的に1999年1月6日付のオリコンランキングで初登場2位を記録し解散をまぬがれ、翌週にはめでたく1位を獲得。
その後20週に渡って100位以内にランクインするロングヒットを記録した。
オリコン上の集計ではわずかに100万枚に達していないが、出荷枚数は130万枚でミリオン認定されている。
楽曲名の通り"ラストチャンス"にかけバンドの危機を一度は乗り越えたが、結局一発屋に終わってしまった。2006年に解散。
一発屋バンド:ロードオブメジャー「大切なもの」
ロードオブメジャーは名曲ぞろいなので、私の中ではただただ「良いバンド」という認識だが、世間的には立派な一発屋である。
2002年リリースされた「大切なもの」は、オリコン19週連続TOP10入りというインディーズとしては驚異的な記録を叩きだす。ちなみに2000年代以降では最高週数。
売り上げの方も90万枚(出荷枚数は100万枚)を突破し、インディーズでリリースしたシングルとしては歴代1位の記録である。
ロードオブメジャーも先ほどの「Something ELse」同様、テレビ番組の企画で大きく知名度を上げている。
彼らはそもそも企画モノから生まれたバンドである。
それが、テレビ東京系で放送されていた『ハマラジャ』内のドキュメンタリー企画「ロードオブメジャー」という企画だ。
別々のバンドで活動中だったメンバー達が、それぞれヘッドハンティングされ結成された。
その後4人で共同生活をしながら100日間で全国50ヵ所をライブ行脚する。
インディーズとしてリリースしたシングルがオリコン初登場50位以内に入れればメジャーデビュー、達成出来なければ即解散というこれまた過酷な条件。
そんな中リリースされたシングル「大切なもの」が、先述のとおり大ヒットを記録し晴れてデビューすることが決まった。
一発屋バンド:ZONE「secret base ~君がくれたもの~」
アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の主題歌でもカバーされ、再び注目を集めたZONEの「secret base~君がくれたもの」。
この曲は70万枚のヒットを飛ばし、出荷枚数では100万枚を突破している。
ZONEはタイアップも多く比較的ヒット曲にも恵まれていた方だと思うが、世間的には本作だけの「一発屋」というイメージがついているようだ。
結成当初はダンス主体のアイドル然としたユニットで、バンド形態に移行したあとも「バンドル (バンド+アイドル)」という新たなジャンルを掲げ、アイドルのイメージを保ったまま活動していた。
活動後期はメンバーそれぞれしっかりと演奏スキルを身に付けバンドとして認められる存在となった。
ZONEトリビュートアルバムには「SCANDAL」「ステレオポニー」らが参加していることからもわかるように、後のガールズロックに大きな影響を与えた重要なバンドである。
メンバーの脱退など紆余曲折あり断続的な再始動もあったが、2013年をもって活動終了。
伝説の一発屋邦楽バンドたち まとめ
ということで、筆者が選んだ一発屋バンドをご紹介してきた。
今回は「売上100万枚以上」という縛りを設けたので、このようなラインナップになっている。
記事を執筆する前に、あれこれデータを調べてみたのだが、100万枚以上の売上でなおかつ「バンド」となると、意外に少ないという印象もあり、爆発的にヒットした一発屋はソロアーティストが圧倒的に多いことも分かった。
50万枚までハードルを下げれば、バンドでも結構な数がヒットすると思うので、機会があれば再びまとめてみたいと思っている。
それではまた。
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