『BABYMEAL(ベビーメタル)は「メタルバンド」or「アイドル」』
今なお激論が交わされるロック界の解けないパズル。
それがBABYMETALのジャンルカテゴライズ問題だ。
当稿では、日頃からメタルを愛聴する元バンドマンの筆者が、さまざまな角度から検証し「バンド or アイドル」どちらなのかハッキリ答えを出すので最後までご覧ください。
- BABYMETAL「メタルバンド(アーティスト)」or「アイドル」
- BABYMETAL(ベビーメタル)と筆者
- BABYMETAL(ベビーメタル)の音楽性はメタルじゃないのか?
- BABYMETAL(ベビーメタル)はメタルアーティストなのか?
- BABYMETALはメタルアーティストかアイドルか 結論
BABYMETAL「メタルバンド(アーティスト)」or「アイドル」
BABYMETALの海外でのイメージ
日本国内での認識として
「BABYMETAL=アイドル」
という捉え方をしている人は少なくない。
それどころか、彼女たちを「アイドル」だと断定し、誹謗中傷するメタラーも一部には存在している。
では、海外のリスナーにはどのように扱われているのか?
アーティストレベルで言えば、大物バンドのメンバーが懇意にしていたりと「メタルアーティスト」として歓迎されているように思える。
私見としては、海外でもBABYMETALが「メタルアーティスト」として幅広く認知されているものと思っていた。
それは「メタル」という音楽に対し日本よりも先進国が多いからだ。
だが、実際はそうではなかった。
以下のブログで海外の反応が見てとれる。
メタルシーン全体としてはともかく、”リスナー”というミクロな単位で捉えると、日本人リスナーと同様の事が起こっている。
つまり「BABYMETALはメタルか否か」で意見が割れているのだ。
さすがに日本のようにアイドルという理由で馬鹿にされる事はなさそうだが。
いずれにせよ、海外にもBABYMETALをメタルアーティストと認めない層が一定数存在するのは間違いない。
BABYMETAL(ベビーメタル)と筆者
まず最初に断っておきたいが、筆者はBABYMETALのファンではない。
「メタルか否か」を語る場合『ファン』であるかどうかは重要な要素になると思う。
メタラーという条件付きで、熱烈なファンほど「彼女たちはメタルだ!」と主張したくなるだろう。
逆に、アンチであれば「あんなものはメタルではない!」と否定するのは当然。
筆者はファンでないが、同時にアンチでもない。
BABYMETALに関しては完全に中立の立場だ。
彼女たちを初めて知ったのは、たしか5、6年前だったと思う。
有線放送で「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を聴いたのが最初だった。
包み隠さず表現するなら、その頃の筆者は「早く解散しろや!」と思う程、BABYMETALアンチだった。
筆者は無類のメタラーで、メタルという音楽に対する愛情は半端ではない。
どう考えても異物感のあるBABYMETALに最初は我慢できなかった。
彼女たちに熱狂しているメタルヘッズにも嫌悪感を抱くほど。
そして、BABYMETALをメタルとして扱っているメディアすべてを敵視していた。
そんな状態が数年続いたのだが、現在は全くといって言いほどBABYMETALに対し嫌悪感を抱かなくなった。
単純な理由だが、月日が経つにつれてどうでも良くなったというのが正直なところだ。
元々興味がなかった物に意識を向けていることの無意味さに気付いたのもある。
その結果、好きでも嫌いでもなくなった。
楽曲自体はたまに聴くけれど現状応援していくつもりはない。
BABYMETALが今以上にチヤホヤされようが、明日解散しても特に何の感情も湧かないだろう。
蛇足ではあったが、そんな人間が書いている文章だという事をお伝えしたかった。
BABYMETAL(ベビーメタル)の音楽性はメタルじゃないのか?
「BABYMETALはメタルではない」というリスナーもいる中、彼女たちの実際の音楽性はどうなのだろう。
筆者としては、BABYMETALの音楽性はメタル(ミュージック)だと考えている。
音だけ聴けばあのサウンドはどう考えてもメタルだろう。
メタルと一口に言っても様々なサウンドがあり、BABYMETALの音楽も然り。
作家がバラバラなのでハードコアに寄せた楽曲もある。
その他、伝統的なメタルではないレパートリーもいくつか存在するが、それを言ったら世の中のメタルバンドも同じようなものだ。
SU-METALのボーカルはさておき、サウンドだけで語るならBABYMETALはメタルと言い切ってしまって良いのではないだろうか。ここは難しく考える所ではない気がする。
では次の項目から、BABYMETALがアーティストなのか否かについて語っていきたい。
BABYMETAL(ベビーメタル)はメタルアーティストなのか?
BABYMETALのサウンドはメタルで間違いないと言い切ったが、それは所詮サウンドだけの話。そこを定義付けたところで何の解決にもならない。
サウンドだけでなく、全体を総括してメタルアーティストと呼べる存在なのか。
BABYMETALの"アイドル性"も踏まえ語っていきたいと思う。
突然だが、メタルアーティストといえば、筆者の中ではこんなイメージだ
出典:MetalSucks
ちなみに画像は筆者が敬愛する「TESTAMENT(テスタメント)」。
BABYMETALをメタルと認めないメタラーのほとんどが、メタルアーティストにこんなイメージを持っているに違いない。
結局は、アイドル風情がヘヴィメタルのバックバンドを使って商売をしているのがBABYMETALだと考えているはずだ。
では、BABYMETALのアイドル性を決定付ける要因はどこにあるのか?
次の項目ではこの辺りに切り込んでみよう。
BABYMETAL(ベビーメタル)をアイドルにしている要素
なぜBABYMETALは一部のリスナーからアイドルと呼ばれているのか。
それは、彼女たちの活動の歴史に理由がある。
ファンにはおなじみかもしれないが、そもそもBABYMETALの母体は「さくら学院」というアイドルグループ。
このさくら学院には部活動という設定?があり
その部活動から重音部としてデビューした期間限定ユニットが現在のBABYMETALである。
デビュー後、着実に知名度を上げていったBABYMETAL。
本来、期間限定だった重音部での活動は「SU-METAL」のさくら学院卒業を機に、「さくら学院」から独立し「課外活動」として現在も続いている。
「さくら学院」の特殊なルール
「さくら学院」には、従来のアイドルにはない特殊なルールが存在する。
中学3年生の3月で義務教育を終えると同時にグループを卒業することが決められており「成長期限定ユニット!!」と銘打っている。
出典:wikipedia
つまり「さくら学院」を卒業後は『アイドル』の肩書がなくなる。
その後は「女優」「モデル」など、適性のある分野で活動するというのが、ファンの共通認識らしい。
上記を踏まえると、「さくら学院」から独立しているため、『BABYMETALは「アイドル」ではない』と主張するファンもいる。
※以下記事のコメ欄で信者らしき人物がお怒りになっていました。
BABYMETALをメタルじゃないと言っている人が圧倒的に勘違いしていること
しかし、現在のBABYMETALは扱いが少々難しい。
上述したように、さくら学院から独立してはいるが「課外活動」という名目。
課外活動をどう捉えるかにもよるが「アイドル」と考えたって違和感はない。
こうした経緯を見ると、名目上「アイドル」と捉えられても仕方がないのではないだろうか。
別の記事では、さらに混乱させる記載があった。
先ほど「さくら学院の特殊なルール」について触れたが、卒業後は"アイドル"を名乗らず別の肩書で活動するはずである。
しかし、卒業後も『ソロアイドル』として活動しているメンバーの存在が、以下の記事内で語られている。
もうルールもへったくれもありはしない。
ますます、アイドルか否かの判断が難しくなってきた。
BABYMETALは、そもそも「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成されている。
これは公式で発表されていることであり、どんな理由を並べようが覆すことは出来ない
現在の肩書きが何であれ、「アイドル」からスタートしたことは間違いないし、それを基に考えていく必要がある。
次の項目では、実際の活動内容などからBABYMETALはメタルアーティストか否かを語っていきたい。
BABYMETALはアイドルと呼ぶには無理があり過ぎる
いきなり核心に迫るが、現状でBABYMETALを純粋な「アイドル」と呼ぶには無理があると思うのだ。
BABYMETALの今現在の活動内容を考えてみてほしい。
世界を股にかけるスケールの大きな活動は、アイドルの枠を広げただけでなく、並みのアーティストでは到底及ばない領域に達している。
「メタル」という小さなジャンルだけの話ではなく、「邦楽グループ」の一つとして考えても驚異的な活躍だろう。
ここまで分かりやすい形で、世界中を熱狂させた日本人グループはかつて存在しなかったはず。
上記を鑑みて、それでもなお「アイドル」と呼ぶにはやはり違和感を覚えてしまう。
BABYMETALはアーティストと呼べる存在なのか?
BABYMETALをアイドルではないと仮定した時、「メタルアーティスト」と即座に呼んでいいのかどうか。
▼アーティストの定義
芸術作品を創作・創造し、表現する人。
出典:wikipedia
上記に当てはめて考えてみよう。
メンバー自身は楽曲を創作していないが、歌やダンスを用いてまったく新しい「メタルミュージック」の形を表現している。
そうした活動自体を「芸術作品の創造」と呼んだって別におかしくはないだろう。
ただ、多くのアンチが口にする
アイドルがメタルバンドを率いて活動しているに過ぎない。どこまでいってもアイドルはアイドル。
といった考え方も頭をよぎるのは事実。
メタルゴッドである「ロブ・ハルフォード」は、BABYMETALを指して「メタルの未来」と大絶賛した。
絶賛しているのは、ロブ・ハルフォードだけでない。
メタリカなどメタルシーンの重鎮たちが、口をそろえてBABYMETALを褒め称えている。
こうした状況を鑑みれば、BABYMETALをメタルアーティスト(バンド)だと素直に認めざるを得ないのかもしれない。
また、メタルミュージックの可能性を考慮すれば、BABYMETALを「メタルの固定観念」にとらわれたまま語るのは愚かな行為だ。
メタルはただでさえマイノリティなのに、可能性の芽を摘むことは自らの首を絞めることになりかねない。
考えれば考える程、結論から遠ざかる難しい問題である。本当にパズルのようだ…
ただ、国境を超えて多くの激論が交わされているBABYMETALは人々を惹きつける魅力があるということは間違いない。
BABYMETALはメタルアーティストかアイドルか 結論
様々な角度から語ってきた「BABYMETALのメタルアーティストか否か問題」。
今回の内容を一度まとめてみよう
- サウンドはメタルで確定
- アイドルと呼ぶのは無理がある
- メタルアーティスト(バンド)と呼ばざるを得ない
上記が考え抜いて導き出された結論である。
活動形態を鑑みれば、限りなく「アーティスト」と呼んでしまって構わないだろう。
しかし、さくら学院の件も含め「アイドル」のイメージを完全に払拭することは出来ない。
・・・明確な答えが出せないという所まで追い込まれているが、こうして記事にしている以上、何かしら答えを出さねばならない。
ということで、
ずばり、BABYMETALは
「アイドル」だ。
誰に何と言われようと当ブログではBABYMETALをアイドルとして扱う。
だが、ただのアイドルではない。
時にはメタルアーティスト(バンド)と呼ばれることもあるフレキシブルな次世代アイドル。
仮にBABYMETALの「メタル」の要素が、付け焼き刃的なクオリティであればこんな結論には至らなかった。
神バンドの演奏はもちろんのこと、BABYMETALは魂を込めて歌い、ダンスを踊ることでメタルを表現している。
メタルミュージックを完全に自分たちの音楽としてコントロールできているのだ。
だからこそ、メタルアーティストや多くのメタラーに支持される。
BABYMETALはただのイロモノ/キワモノではない。
本物でなくては10年もの間、活動できないだろうし、ここまで沢山の人の心は動かせないはず。
アイドルの新たな可能性を魅せてくれたBABYMETALだが、本当の意味でアイドルの枠を広げた存在ではないだろうか。
さすがは現在隆盛を極めるロック系アイドルのパイオニアである。
様々な角度から検証してきたが筆者は難しく考えすぎていた。
「アイドルがカッコいいメタルをやっている」
それくらい単純な話だったのかもしれない。
ちなみに、BABYMETALの公式としての肩書きは「メタルダンスユニット」だそうだ。
個人的に「メタルダンスユニット」というネーミングは中途半端にダサい。
純粋にアイドルとして活動してくれた方がカッコいいと思う。
小さな島国のアイドルが世界中を熱狂させている
こちらの方が絶対にエキサイティングだ。
それではまた。
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