King Gnu(キングヌー)はなぜ「売れた?」2つの理由【なぜ流行った?人気?の秘密】
King Gnu(キングヌー)という存在がいま面白い。
2020年現在、邦ロック好きはもちろん、それ以外からも注目される超売れっ子バンド。
Official髭男dismと並び、最も勢いのあるロックバンドの一つと言えるだろう。
今やKing Gnu(キングヌー)の名は、普段ロックを聴かない一般リスナー層にまで知れ渡った。きっととなりのOLさんも聴いているに違いない。
はじめに断わっておくが、筆者はKing Gnuのファンというわけではない。
しっかり聴き込んだのは5、6曲程度。
それでも、楽曲のクオリティは近年の邦ロック界では飛びぬけていると思うし、メンバーの才能も大いに認めている。
一度聴いたら口ずさめてしまうキャッチーなメロディ、問答無用でオシャレだと感じさせるアレンジセンス。そんじょそこらのロックバンドには真似できないだろう。
飽和気味だった邦楽ロック界の中でも際立って面白い存在だ。
そこで当稿では、「King Gnu 人気の秘密」「King Gnuがなぜ売れたのか?」「King Gnuが流行っている意味が分からない」に対する答えを、筆者なりの考えを元に語っていきたいと思う。
King Gnu(キングヌー)が売れて人気が出た理由はポップ
King Gnuがここまで売れた理由はポップだからである。
これだけは全く意味が分からないと思うが、「ポップ」こそKing Gnuが爆発的に売れヒットした理由だと筆者は考えている。
その「ポップ」を記事タイトルにもあるように、大きく2つの項目に分けて解説していきたい。
その前に大事なキーワードである「ポップ」について説明する必要がある。
これが分かっていないと、King Gnuが売れた理由を説明できないのでお付き合いいただきたい。
ポップ(POP)とは大衆 (popular) の略
一般に受け入れられ親しまれているさま。大衆的。民衆的。
出典:Weblio 辞書
「ポップ」とは、分かりやすく表現するなら「みんなに好かれている」ということだ。
つまりKing Gnuは、みんなに好かれる存在だったからこそ、ここまで人気を得ることができた。
極めて当たり前のことを言っているように聞こえるだろうが、その辺りも説明するのでもう少し我慢してほしい。
みんなに好かれる存在だったと書いたが、King Gnuは最初からみんなに好かれる「ポップ」な存在だったわけじゃない。
では、好かれるためにどんなマジックを使ったのか?
その答えは単純。
ポップではなかった活動当初から、
皆に好かれること(ポップになること)を前提に、その一点に集中して活動を行っていたからである。
この場合の「皆」というのは、流行りの音楽しか聴かないようなライト層も含む。
逆にいえば、King Gnuのような人気を得て曲をヒットさせるには、上記のライト層にも好かれることが必要になってくる。
ここまで読んだあなたは「そんなの当たり前だろ」と思うかもしれないが、売れていない人気のないバンドは、ライト層にまで訴求できないから、いつまで経っても売れないし、自分たちの音楽も一向に流行らない。
当然、King Gnuと同じ販売戦略で臨んでも、売れて人気が出る保証はないが、それでも今よりは確実に知名度は上がるはずだ。
では次の項目から、King Gnuがポップな存在になるために行ってきた販売戦略を順に解説していこう。
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King Gnu(キングヌー)の楽曲はポップスだから売れた
まず、King Gnuの楽曲面での話をしていこう。
巷で言われている「king Gnuが売れた理由」はだいたい以下のような感じ。
- 曲がお洒落
- メロディが良い
- なんかクールでかっこいい
どれも間違ってはいないし、大衆の支持を得るためには必要な要素ばかり。
しかし筆者は、King Gnuが売れた理由の根幹は上記ではないと思っている。
尤も、ガチガチな音楽好きを相手にする場合は、曲がオシャレで、ある程度メロディのクオリティが高ければ成功するかもしれない。
しかし、ライトリスナー層を意識した場合は、King Gnuのような、さらに突っ込んだ販売戦略が必要だと思う。
まずバンドが売れるためには何が必要だろう?
当然だが、まず曲が良くなければ絶対に売れようがない。
その点でいえばKing Gnuは安心だ。
どの楽曲を聴いても及第点以上のクオリティを誇る。
オルタナティブ・ロック、ジャズ、R&Bやヒップホップなどを巧みに融合させ、「トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル」と呼ばれる、独自の音楽性を確立させたKing Gnu。
その音楽性こそが、King Gnu最大の武器でもある。
ただしそれは、専門的な音楽ジャンルの話しだ。
流行している「J-POP」を好んで聴くような、いわゆる"ミーハー"なライト層にとっては、音楽ジャンルの事など正直どうでもいいだろう。
ライトリスナーは、「歌詞が良い」「ノリが良い」など、楽曲の表面的な部分にしか興味がないからである。
King Gnuの曲に関しても「なんとなくかっこいい」程度の認識しかないだろう。
もちろん「なんとなく」音楽を聴いたって構わない。
これは良い悪いの話ではない。音楽との接し方は人それぞれだし。
何が言いたいのかというと、上述したライト層に「なんとなく良いな」と思ってもらうことが最も重要なポイントなのだ。
だからKing Gnuのサウンド的な魅力はこの場合まったく意味をなさない。
サウンドがいくらカッコいい物であってもライト層には響きづらい。
たとえば、ミーハーな「スイーツ女子」は、高度な演奏力に感銘しバンドを好きになることはほぼないだろう。
判断基準はあくまで「なんとなく良いな」という部分。
サウンドがどうこう言いながら音楽を聴くのは、筆者をはじめとする一部の音楽バカだけである。
では、King Gnuの曲はどうやって「なんとなく良いな」を生み出したのか?
これも答えは簡単。
ライト層にウケるためのポップソングを作っただけである。
また「当たり前のこと言いやがって」と思うかもしれないが、少し落ち着いてくれ。
当たり前のことを当たり前にやった結果、ここまで流行ったし、大きく売り上げを伸ばすことが出来たんだ。
"King Gnu"という名前がここまで大きくなったのは、当たり前を積み重ねてきたからに他ならない。
この件に関してとても共感できる記事があったので引用したい。
●イントロが短い
●どこがサビかわかりやすい
●サビ以外のメロディーも動きを多くしてドラマティックにする出典:ferret
この3点は、日本人にとってなじみのある「J-POPらしさ」を演出してくれるポイントだそうだ。たしかにヒット曲の多くはこのスタイルを踏襲していることが多い。
そして、King Gnuの楽曲のほとんどに上記の三点が当てはまっているらしい。
つまり、King Gnuの楽曲が大衆に支持され、売れまくり流行った理由は、売れる方程式にそって曲を作っただけというシンプルなカラクリである。
もちろん、売れる曲なんてものは狙って簡単に作れるわけがない。
印象的なメロディを量産する、常田大希の類いまれなる才能のおかげもあるだろう。
だが、万人に受け入れられるような「J-POPらしさ」がなければ、せっかくのメロディも宝の持ち腐れになっていただろう。
「良いメロディ」と呼ばれるものすべてが、日本人好みというわけではないのだから。
先程引用した記事の中に、J-POPの作り方について、興味深い話があったので再び引用させていただく。
実はKing Gnuより先に米津玄師がこのやり方を確立していました。米津玄師のアルバム曲に、ブレイク前の常田さんが一曲アレンジャーとして参加しています。おそらく、その時に常田さんはこうしたやり方を学んだのではないでしょうか。
出典:ferret
常田自身は、自らJ-POPを聴き込んでかなり研究したと過去に発言している。米津玄師との出会いで、元々持っていたポップスの才能が完全に開花したのではないだろうか。
オシャレすぎるトラックに、J-POPの要素をぶち込んだ
これこそが、king Gnuが売れた一つ目の理由である。
オシャレな雰囲気のサウンドに、耳馴染みの良いメロディが融合すれば、ミーハーに訴求できるという事だ。
そして、もうひとつの理由により確固たる人気を得ることになる。
King Gnu(キングヌー)はポップな存在だから売れた
では次に、楽曲以外の面で、King Gnuが大衆から支持され人気を獲得できた理由だ。
タイトルでネタバレしているが「ポップな存在」というのが答え。
King Gnuが売れた一つ目の理由は「ポップな曲」、二つ目の理由が「ポップな存在」。
順に解説していこう。
一時期に比べれば増加傾向にあるが、いわゆる「ロックバンド」は、テレビをはじめとしたマスメディアに顔を出すことが少ない。
その背景には「SNS」という、自分たちで宣伝できる媒体が登場したことも大きな要因ではある。
そんな中でKing Gnuは、自分たちの知名度を積極的に上げる活動を行ってきた。
- 音楽番組の出演
- CM出演
- ドラマ出演
- 企業とのタイアップ
- SNSの活用
などなど。
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特に、King Gnuのタイアップに対する考え方は他のバンドと一線を画す。
通常ロックバンドは自分たちの作品に強いこだわりを持ち、タイアップのオファーを依頼された際、そもそも受けなかったり、受けたとしても商品に寄せた作品を作ることは少ない。
そんな中King Gnuは、タイアップのオファーがあれば積極的に仕事を受ける。
そして、企業の案件に寄せた作品を作っていたようだ。
そうすることで、次々とタイアップの依頼が舞い込む。
それを繰り返したことで、自分たちの知名度は爆発的に広まっていったという事だ。
尤も、現在売れているようなバンドは、King Gnuと同じようなスタンスで音楽活動を行っている。タイアップのチャンスを上手く活用することこそ、売れるアーティストになるには必須項目だと思うし、それは今も昔も変わらない。
SNSの活用
King Gnuのヒットを語るうえで外せないのが、彼らのSNSを使った戦略だろう。
ツイッター、インスタグラムをはじめとするSNSは、ファンと交流するために必須ツールである。
現在の音楽業界で売れるためには、SNSを必ず使いこなさなければならない。
なぜなら、マメにSNSを更新しファンと交流することは、口コミ効果(バズる)で知名度が爆発的に上がる可能性を秘めているから。
そして、マメに更新することで、タイムライン上に自分たちのメッセージが残りやすくなる。その結果、名前が拡散される可能性も増えてくるため、SNSを使わない手はない。
発信するメッセージは、バンドのキャラクター性が伝わる内容が好ましい。
どんな人間が音を出しているのかはっきりしていた方が、受け手はより親近感を持ち、コアなファンになる確率も上がる。
逆にまったく売れないバンドは、SNSの更新をほとんどやっていない。
久しぶりに更新したと思ったら、バンドのイメージアップに繋がる内容ではなく、まったく関係ないことを発言していたりする。
King Gnuに話を戻そう。
井口理のキャラクター性がよく話題になる。
井口はSNSを中心に"面白いキャラ"と評判で、この辺りもKing Gnuの人気に一役買っているはずだ。
また、常田大希はインスタグラム上で、短いながらも印象的な発言をすることが多く、それはファンの間で「名言」としてまとめられていたりもする
ビジネスライクにSNSを利用するだけでなく、自分たち音楽に対するスタンスや、特異なキャラクター性を前面に押し出すことによって、最大限の宣伝効果が得られたのではないだろうか。
上述したように、様々な媒体を使った地道な活動が実り、ライト層が「King Gnu」の名前を目にする機会が増えた。その結果、国民的な人気を獲得したKing Gnu。
「単純に露出を増やしただけじゃん」
と思っただろうか?
だが、これは販売戦略として非常に意味のある行動なのだ。
心理学の世界では、接触回数が増えるほど好印象を持つようになる「ザイオンス効果」というものがある。
King Gnuが活動の中で行ってきたのはまさにこれではないかと筆者は考えている。
- テレビ、メディア、SNSで目にする機会が増える ⇒
- 気が付いたらなんだか好きになっている ⇒
- とりあえず曲を聴いてみる ⇒
- 聴きやすくてハマってしまう
上記のサイクルで、ファンの数を着実に増やしていったのではないだろうか。
King Gnuのメンバーは様々なメディアに積極的に登場した。
それは、受け手(リスナー)との距離を意図的に縮める狙いがあった。
その結果、大衆に支持されるポップな存在になれたのだと筆者は考えている。
King Gnu(キングヌー)が売れた理由のまとめ
ということで、King Gnuが売れた理由、爆発的に流行った理由を解説してきた。
最後に、一度まとめてみよう
King Gnuが売れた理由。
キーワードは「ポップ」である。
ポップな曲
ポップな存在
この2つが 大きな理由だと考えている。
今回の記事で記載していないエピソードや、細かい戦略を挙げればキリがないが、そのすべては自分達をポップに見せるための物である。
徹底してポップにこだわった結果が、現在のKing Gnu人気なのではないだろうか。
それではまた。
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