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攻撃性/聴きやすさが同居した奇跡のハードコア Beartooth『Disgusting』レビュー&感想

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今回は筆者イチオシのバンド、Beartoothデビューアルバム『Disgusting』をレビューしていきたい。

 

「Beartooth (ベアトゥース)」はエレクトロニコアの元祖として語られることが多い「Attack Attack!」に在籍していた「ケイリブ・ショーモ」率いるハードコアパンク/メタルコアバンド。

 

本作は「暑苦しさ」と信じがたい「聴きやすさ」が同居した奇跡のアルバムになっている。

 

 

Beartooth『Disgusting』収録曲

  1. Lines
  2. Beaten in Lips
  3. Body Bag
  4. In Between
  5. Relapsing
  6. Ignorance Is Bliss
  7. I Have a Problem
  8. One More
  9. Me in My Own Head
  10. Keep Your American Dream
  11. Dead
  12. Sick and Disgusting
  13. Finish Line
  14. Give It Up
  15. Blitzkrieg Bop (Live)(Ramones cover)
  16. The Lines (Low Gain Mix)

 

Beartooth『Disgusting』総評レビュー

☆おすすめ曲 ⇒ 1/2/3/4/5/7/9/10/12/13

 

彼らは2021年現在で4枚のアルバムをリリースしている(うち一枚はリミックス/リマスターなので楽曲数としては実質3枚分)。

 

すべてカッコよく仕上がってるんだけど、まず聴いてほしいのがデビューアルバムである本作。

 

元々attackattack!が大好きだったので「Beartooth」のことは大して調べもせず作品を入手したのだが、予想をはるかに上回るクオリティだった。

 

attackattack!はエレクトロニコアということで、メタルコアがベースになっているんだけど、「Beartooth」も勝手なイメージでメタルコア色が強いバンドだと思っていた。

 

ところが、蓋を開けてみるとまず耳に飛び込んできたのはハードコアの凄まじい熱量と攻撃性だったのだ。これには良い意味で裏切られた。

 

その時点で彼らに与えられたインパクトは物凄かったが、過去のバンドを知る筆者だからこそ抱けた感覚だろう。

 

したがって、Beartoothを知らないattackattack!ファンなら驚いてもらえるし、メタルコアの要素も内包しているためサウンドは十分楽しめると思う。

 

 

ということで、ここからはまっさらな状態でBeartoothの音楽に触れるリスナーへ向け感想を語っていきたい。

 

ハードコアの攻撃性と既述したけれど、近年のポストハードコアというよりも、もっと原始的なハードコアパンクの疾走感から来るアグレッションがある。

 

Beartoothはメタルコアと形容されることも多いが、メタリックというよりは上述したハードコアパンクの無骨な泥臭さが勝っている感じだ。

 

仮にメタルコアとした場合でも、近年の均整がとれたスタイリッシュなサウンドではなく、チャラいとかお洒落とは正反対の雰囲気が漂う。

 

 

とはいえ、ひたすら爆走するハードコアパンクとも違うし、形容するのが難しいのだが、ひとことで言えば「ハードコアとメタルコアの良いとこ取り」なんだけど、それだけにとどまらない魅力があるのも確か。

 

 

メタルコアは、サビのパートで不自然なまでにテンポを落とすことが半ば"お約束"になっている。

 

クリーンパートで歌を聴かせる舞台装置だとは思うが筆者はあれが苦手だ。

 

サビでもそのまま疾走しててくれよと思うことが度々ある。

 

とりあえず「メタルコアだから」という安易な理由で導入しているバンドもいるだろうし、型に嵌ったつまらない様式美だと思っている。

 

Beartoothもメタルコアを意識してなのか、その"様式美"を導入しているのだが、彼らの場合はテンポを落とすことに必然性を感じるというか、そうすることで楽曲の説得力が増している気がするのだ。

 

そこには、メタルコアに感じる"あざとさ"がないので、邪念を抱くことなく楽曲に没頭することが出来る。

 

全体的にサウンドの組み立て方が上手いので、テンポダウンに関しても違和感を感じさせない工夫があるのかもしれないが、筆者はそこが解明できていないので、今後本作を聴く機会があれば分析してみてください。

 

 

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圧倒的な聴きやすさ

『Disgusting』は全体を通し無骨で泥臭いハードコアが鳴っていることはお伝えした通だが、それだけなら珍しくもなんともない。

 

彼らの音楽は暑苦しいにもかかわらず極めて聴きやすいことが最大の特徴であり武器になっていると思う。

 

その大きな要因が、ありえないレベルでキャッチーなフックを放つポップ感満載のサビメロだ。

 

これは聴いてもらうのが一番早いと思うので筆者おすすめの曲をどうぞ

Aメロは全編シャウトで捲し立てる激しいボーカルだが、Bメロで「おや?」となりサビは同じバンドとは思えないほどキャッチーになる(一部シャウトが混じるが)。

 

Beartoothの楽曲はほとんどがこの構成で作られている。

 

曲にもよるがキャッチーを通り越して、最早クサさが感じられるから凄い。

 

しかも感情たっぷりに歌い上げてくれるので、エモーショナルな感覚に支配されることうけあいだ。

 

楽曲内のポップな歌メロパートが占めるバランスも見事で、調子に乗って歌い過ぎてしまうと攻撃性が損なわれてしまう。

 

そのギリギリをつくように上手くまとめられている。

 

 

知識の浅い筆者は、極上のアグレッション・疾走感と、尋常ならざる聴きやすさをこれほどのレベルで両立させたハードコアに出会ったことはない。

 

まさに「(筆者の中で)ありそうでなかった」サウンドがこのアルバムには詰まっているのだ。

 

同じ感覚を味わいたい方はぜひ聴いてみてほしい。

 

 

Beartooth『Disgusting』のサウンド

上記の要素を中心にBeartoothの楽曲は作られているわけだが、彼らの根幹にはハードコアパンクがあり、楽曲によって分量を調節し他の要素を加えているといった印象。

 

つまり、基本的にはクロスオーバースタイルで、楽曲によって主役となるジャンルが交代していると表現すれば良いだろうか。

 

異なる音楽性を融合させるセンスも見事。

 

いわゆる「メロコア」的な疾走感のあるサウンドに、いきなりビートダウン(ブレイクダウン)を導入するなど、それを違和感なくやってのける。

 

そのおかげで一本調子にならずバラエティに富んだアルバムとなっている。

 

 

歌メロと共に聴きやすさに貢献しているのが、楽曲全体から感じられるリズミカルな部分。

 

リズムパターンが際立っているとかそういった類の話ではなく、単純な表現をすれば"ノリが良い"という事なんだけど、ギターリフの躍動感が要因ではないかと考えられる。

 

いずれにせよBeartoothの聴きやすさは緻密に構築されたサウンドにも起因していると言えるだろう。

 

 

Beartooth『Disgusting』レビューまとめ

ということで、Beartoothのおすすめアルバム『Disgusting』をレビューしてきた。

 

究極のアグレッションとポップな魅力に満ちた本作をぜひ体感してみてほしい。

 

それではまた。

 

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