BEARTOOTHの勢いは止まらない「Devastation」「The Past Is Dead」レビュー
4枚目のフルアルバム『Below』リリースを2021年6月25日に控えたBEARTOOTH。
先日、アルバムに先駆け新曲「Devastation」「The Past Is Dead」のMVがアップされた。
BEARTOOTHは、筆者が今一番注目するハードコア/メタルコアバンドである。
2018年にリリースされたアルバム「Disease」は、正直印象に残らない作品だったので期待が大きかった分残念だった。
今回発表されたどちらの新曲も、アルバムに期待が持てる良曲に仕上がっていると思う。ではさっそくレビューと感想を語っていきたいと思う。
BEARTOOTH「Devastation」
まずイントロのギターリフからBEARTOOTHらしさが爆発している。
数回聴けばコピーできそうなほどシンプルなフレーズにもかかわらず、驚くほど耳の残るキャッチーさ。
近年はDjent(ジェント)などの台頭で、ますます緻密に複雑化していくロックサウンド。
難解なサウンドも聴き応えがあって良いのだけど、トレンドとして一極集中している傾向は否めない。
BEARTOOTHのジャンルでもある「メタルコア」もエレクトロニカなどを過剰に取り込み、最早メタルコアと言えない物まで登場している。
そんな状況下で、彼らのようなシンプルなサウンドで勝負しているバンドにスポットが当たることは嬉しい限りだ。
そう、このシンプルな力強さこそがBEARTOOTHの魅力だと思う。
「技を超えた純粋な強さ、それがパワーだ!」
これは幽遊白書「戸愚呂弟」のセリフなんだけど、まさにそんな感じがする。
目新しいフレーズやプレイは一切聴こえてこないのに、楽曲の単純なパワーや熱量だけで世界観に引きずり込み、一度ハマったら抜け出せない中毒性がある。
言葉にすると簡単そうだけど、最近のハードコアやメタルコアバンドでは稀有な存在ではないだろうか。CODE ORANGEの初期がまさにそんな感じがあったけれど、徐々に方向性を変えてしまった気がする。
BEARTOOTHがパワーで押しきることが出来るのは、楽曲の骨格そのものの良さがあるからに他ならない。
"サウンド"という装飾を脱ぎ捨てたとき、剥き出しになった旋律が優れているということだ。
BEARTOOTHの紡ぐメロディは、属しているジャンルには似つかわしくないほど歌心に溢れているから基本どんなサウンドにも対応できるのが強み。
それもすべて彼らのメロディセンスの良さが影響しているわけで、結局はリフを作るにも同様のセンスが必要になる。
つまりその能力が高いからこそシンプル且つ力強い楽曲が生み出せるのだろう。
BEARTOOTH「The Past Is Dead」
一聴した感想は「Fall Out Boyみたいだな」だった。
かつてないほどボーカルが丁寧に歌唱しているし、サウンドも荒々しさが減退して全体的にメジャー感がぐっと増した気がする。
歌が前面に出ているので初めは戸惑ってしまったが、彼らの武器であるメロディの良さが如何なく発揮されている。
上述したようにサウンドの主張は控えめで、あくまでも歌を活かすようメロディに沿って補うようなアレンジが特徴的。
単純に「良い曲」という表現がぴったりな、人によっては「名曲」と認定してもおかしくはない安定感のある一曲。
このタイミングでこんなことを言うのも何だが、はっきり言えばBEARTOOTHに求めている要素ではない。 好きな曲ではあるけど、それとこれとは話が別だ。ファンの複雑な心理を理解していただきたい。
ただ、筆者の感想を抜きにすれば、バンドがこの方向性に進むのは大賛成である。
今後さらに知名度を上げるためには、ただ暑苦しいだけのロックでは難しいだろう。
それこそ「Bring Me the Horizon」のようになるには、まだまだメジャー感が足りないくらいだ。
"良曲を書く"ということで言えば、BEARTOOTHは計り知れないポテンシャルを秘めているからその点はなにも危惧していない。
ファンにとって一番悲しいのは、売れなくなって解散してしまうこと。それを回避できるならいくらでも売れ線を狙ってほしい。
ただし、メジャー感が増したとはいえ、ブレイクダウンは健在だしサウンドの方向性自体は変わっていない気もする。
前作のアルバムでも感じたけれど、近年の「Architects」のようにいずれは"歌モノ"にシフトするのかなと思う。
BEARTOOTHは、元々バランス感覚に秀でたバンドでもあるので、従来のスタイルを残して上手くまとめてくれると期待はしている。
まとめ
6月リリースのアルバム『Below』は12曲収録予定だが、6割程度攻めた楽曲にしてくれれば何も言うことはない。
いずれにせよ大好きなバンドなので必ず手に入れると思うが、その際はまたレビューします。
それではまた。
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