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ATTACK ATTACK! 復活後の新曲「All My Life」とメタルコアの未来

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2013年に解散した「ATTACK ATTACK!」

 

メタルコア/ポストハードコアサウンド「エレクトロ」の要素を大胆に導入。俗に言う「ピコリーモ」の元祖としても語られることが多い。個人的には、それまで"ありそうでなかった"全く新しい音楽を聴かせてくれた思い出深いバンドである。

 

 

そんなATTACK ATTACK!であるが

復活のニュースを知ったのが2020年10月下旬。

 

 

この時点で、元ボーカリストである

 

Austin Carlile (ex-OF MICE & MEN)」

Caleb Shomo (BEARTOOTH)」

 

の両名は、再結成に参加しない旨を自身のSNSで発表しており、古参ファンとしては残念であったが、大好きなバンドの復活にとにかくワクワクしていた。

 

 

 

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「ATTACK ATTACK!」復活後の新曲

というわけで、待ちに待ったATTACK ATTACK!復活第一弾の新曲「All My Life」が発表されたのだが、結果から言えばまったく響かない作品だった。

 

正直、カッコいいとかダサいとか何も感じなかった。言葉にするなら「ふ~ん」という感じだろうか。

 

 

実際ハードルを上げ過ぎたのかもしれない。

 

ただ、それを差し引いたとしても(ATTACK ATTACK!の作品として)楽曲のクオリティには首をかしげたくなった。

 

 

聴いてない方はとりあえず一度聴いてみて下さい。

率直な意見を述べるなら、この「All My Life」をATTACK ATTACK!でやる必然性が感じられなかったのだ。つまり「オリジナリティ」が皆無だということ。

 

トレンドを押さえたサウンドでまとめているため非常に耳障りは良い。ATTACK ATTACK!を知らないリスナーが聴けば好きになるかもしれないレベルの曲だとは思う。

 

個人的には時流を無視してでも思い切って原点回帰してほしかったのだが。

 

 

 

「All My Life」が発表された数日間は、ツイッター上でも私を含め何名かつぶやいていたが、内容的には賛否両論であった。

 

 

AA久しぶりの新譜ということで、歓迎ムードは感じられたものの、楽曲のクオリティを手放しで褒めている者はそこまで多くなく

 

「想像とは違ったがこれはこれで良い」

 

といった旨の、煮え切らない意見が少し目立っていたように思う。

 

 

 

そんなAttackAttack!の新曲だが、興味深いツイートを見つけたので引用させていただこう。

「All My Life」がつまらない楽曲になってしまった要因として、メタルコアにおけるサウンド面での限界を挙げられている。

 

 

たしかに、メタルコアという狭いジャンルの中で、誰もが驚くようなサウンド的ギミックを仕掛けることは今後ますます困難を極めるだろう。"サウンド"だけで云えば、この方が仰るようにやり尽された感があるのは間違いない。

 

 

だが私は、サウンドの限界点が、そのまま音楽ジャンルの限界になってしまうのかという事実をここ数日考えていた。

 

 

 

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ATTACK ATTACK! 復活後の新曲「All My Life」がパッとしない理由

先ほどのツイートを見つけた直後は、サウンドの限界がジャンルそのものの限界なのかもと思えたのだが、メタルコア以外のジャンルに目を向けてみると、それは必ずしもそうとは言い切れない。

 

 

筆者の敬愛するスラッシュメタルというジャンルは、メタルコアよりも歴史が古く、それこそやり尽された感のある音楽である。よく言えば「様式美」であり、悪く言えば「マンネリ」とも捉えることができるそのサウンドは、馴染みのないリスナーからすれば全部同じに聴こえると揶揄される音楽ジャンルだ。だが、それでもなお、スラッシュメタルというジャンルからは毎年のように名曲が生まれている。と同時に、数え切れないクソのような曲も生み出している。

 

 

つまり、楽曲の善し悪しは、サウンドの進化や限界点とは相関関係にないはずなのだ。

 

 

仮に、似たようなサウンドとアレンジで複数の楽曲を制作したところで、曲ごとに優劣が生まれるはずである。バンドやプレイヤーが異なれば、同じように制作しているつもりでも、必ず「良い曲」と「良くない曲」の差がついてしまうものだ。要因は様々であるが、単純に音楽的センスの問題が大きいと思う。そして、その事実はあらゆる音楽ジャンルで言えることであり、メタルコアスラッシュメタルに限ったことではない。

 

 

したがって、ATTACK ATTACK!の新曲「All My Life」が不発に終わった理由は、メタルコアの限界というか、単に現在のATTACK ATTACK!のセンスの問題ではないだろうか。

 

ズバリ言わせてもらうが「All My Life」はサウンドうんぬんの前に、骨組みとなる曲自体の完成度が低い気がする。メロディが錬られていないし構成もありきたりなのだ。

 

 

メタルコアの今後

音楽以外にも当てはまることだが、最先端を取り入れたからといって、それが絶対的に良い物になるという保証はない。

 

やり尽された手法を駆使しながら、自分たちの色を出し、それが高い評価を受けているクリエイター/バンドはごまんと存在する。

 

 

メタルコアの世界で言えば、Killswitch Engage」「As I Lay Dying」といった大御所が2019年にリリースした新譜は素晴らしいクオリティだった。どちらのバンドも特に目新しい手法は使っていないにもかかわらずだ。善くも悪くもパブリックイメージ通りのメタルコアである。

 

近年のBring Me the Horizonの活躍を見ても分かるように、メタルコアのみならず、ラウドロック全体が大きな転換期を迎えている。適切な表現ではないかもしれないが、楽曲がよりポップな方向にメロディもサウンドも傾倒している。

 

以前から、メタルコアにはポップな要素があったものの、それがさらに深化している印象があり、人気アーティストの楽曲を聴くと、ラウドの要素と同じ比重か、それを上回るポップさを内包した曲が目立つようになってきた。

 

 

要するに、ポップな楽曲構成が今の「最先端」なのだが、だからといって誰もがその方向性で楽曲を作る必要はない。トレンドは無視してでも、いかに自分たちの色を出せるかという事に注力する方が大切ではないのか。

 

 

今回記事で取り上げた「All My Life」のように、トレンドを意識したにもかかわらず、個性が消え去り大きなインパクトを残せない場合もある。

 

 

アレンジの面白さなんてものは、センスで補うことが可能ではないだろうか。メタルコアの場合、サウンドインパクトが足りない時、耳障りの良い鍵盤や打ち込みを取り入れるのもいい。だが、「メタル」を冠しているのだから、大御所たちが新譜で示したように圧倒的なギターリフの凄味で勝負してほしいと願わずにはいられない。

 

 

何が言いたいのかというと、どれだけ時流が変化しても「メタル」っぽさを忘れないでくれという事。

 

それではまた。

 

 

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