B`zのパクリ問題をB`zファンではない元バンドマンメタラーが一刀両断する
国民的な人気を誇るロックバンド「B`z」。
彼らはいつからだったか「パクリ」と揶揄されるようになった。
筆者は一時期B`zのアルバムを購入して聴いていたが熱烈なファンではないし、かといって彼らのパクりについて非難するつもりもない。完全に中立の立場である。
というかアーティストがパクること自体どうでもいいのだ。
曲さえ良ければ何をしたっていいと考えているし、パクリに関しても「元ネタが知れてラッキー」くらいにしか思わない。
ということで今回はB`zのパクリ問題にスポットを当てていきたい。
彼らのパクリは本当に悪いことなのだろうか。
なぜB`zだけがこんなに叩かれるのか
完全にB`zがパクっていることを前提に話を進めているが、正直「パクり」と思われても仕方ないレベルだろう。
良く言えば「オマージュ」ということになるのだが、聴く人によってはパクリ以外の何物でもない。ファンに方には申し訳ないが「パクっている」という事でここからも進めて行きたい。
世の中にはパクっているアーティストなんてごまんといるはずなのにどうしてB`zだけが執拗に叩かれ続けるのか。
それは簡単な理由で、B`zが尋常ではないほど売れているからだ。
wikipediaにはB`zだけが叩かれる要因がいくつか書かれていたが、あれを統合するまでもなく、結局は「売れていることに対する妬み」だと思う。
パクった結果、爆発的に売れてしまったからたまたまターゲットになっただけ。
仮にB`zがアンダーグラウンドで活動しているバンドならここまで非難されることもなかっただろう。
むしろアングラだったら「○○のフレーズを引用するなんて渋いね」なんて言われて持てはやされていたかもしれない。
つまりはそういうことで、アーティストの立ち位置で受け手の印象などまったく別の物に変わってしまう。たまたま売れたから叩かれるだけであって、非難すること自体が不毛で全く意味がないと思う。
アンチは売れているのが気に入らなくてどうにかして貶めようとパクリだなんだと言っている思うけど、どれだけ叩こうが今更B`zの人気が揺らぐわけでもないので尚更意味がない。
そもそもパクっていることに対し、厳正な判断ができるのはパクられた側のバンドだけだ。
音楽なんて所詮パクリで出来ている
B`zに限った話ではないが、少なくとも現代の音楽文化は多かれ少なかれパクリで成立している部分もあると思う。
「すべての芸術は模倣から始まる」
という言葉があるのをご存じだろうか。
もちろん模倣とパクリは別の意味だけど、パクリ方に問題があるだけで「パクる」こと自体は悪ではない気がする。
では、問題のない「パクリ方」とはどういった方法なのか?
ネタを模倣した上で、そこへ独自のカラーを打ち出すということだ。
B`zの場合は曲によって自分たちのカラーが薄すぎて、元ネタがはっきりと浮き彫りになっているのが問題だと思う。
ただし、B`zはたまたま「模倣」が明るみになっただけで、大なり小なりアーティストは皆やっていることは同じだ。
極論になってしまうが、模倣をいっさいやらないと仮定した場合、音楽が作れなくなってしまう。
音楽が誕生してからこの世にはあらゆるサウンドやメロディが形成された。そのどれにも属さない音楽など生み出せるわけがない。
また「歌う」という行為は紀元前1000年頃から存在する。つまり、現代のボーカリストやシンガーは誰かの模倣でしかないのだ。
ちなみに音楽の起源だが、世界最古の「メソポタミア文明」の時代にはすでに存在していたと言われている。
結局ゼロから音楽を生み出せる人間などいなくて、アーティストには影響を受けた「ルーツ」となる音楽が必ず存在する。
所詮はルーツ同士を上手く組み合わせて"新しい音楽"と定めているだけに過ぎない。
つまり、大昔に生まれた最初の音楽を模倣し続け現在に至っているわけだ。
ここまで大きなスケールで物事をとらえると、B`zのやっているパクリなど最早どうでも良くなってこないか。
現実的な話に戻そう。
B`zだって慈善事業で音楽をやっているわけではない。売れたいと思うのは当たり前の感情だろう。
そして、売れるためにはヒット曲を作らなければならない。
だったら、売れる方程式に沿って楽曲制作する事はそんなに悪いことなのだろうか。
ヒットするためのサウンド・メロディはほぼ出尽くしているのだから、過去のヒット作や往年の名曲からネタを引用するのはある程度仕方ないことだろう。
仮にヒットを度外視するならオリジナリティに溢れた実験的な音楽はいくらでも生み出せるはず。実際訳が分からない音楽なんて世界中に点在しているのだから。
ただしそういった音楽性でヒットさせるのはほぼ不可能に近い。
B`zは過去の名作を模倣する。
最短距離で「ヒット」というゴールにたどり着ける方法だからだ。
だがこれは、これまで人類が音楽を発展させるために行ってきたことと根幹は変わらない。一部の現代人がパクリと決めつけているだけで模倣であることに変わりはない。
ただ彼らの場合は少しやりすぎてしまったというだけだ。
「パクリ」と「オマージュ」
これもB`zのパクリ問題を語る際にはほぼ必ず登場する考え方だ。
「B`zはパクリだ!」と息巻くアンチは、楽曲を聴いて「オマージュ」と感じれば大人しくなる。
ただし、上述したようにB`zはパクリ方が下手すぎるから、普通に聴いている分には逆立ちしてもオマージュだと感じられない。
だけど「オマージュ」と「パクリ」をリスナーが判断するのは本来不可能だと思う。
たとえば、そっくりそのまま流用していたとしても、アーティスト側が「オマージュ」のつもりで制作している場合もある。
実際、松本孝弘の過去の発言をみてもオマージュであることがはっきり分かる。
よくいるでしょ。この曲のここはツェッペリンだな、とかいう人。それをまるですごいことでも発見したようにいう人、いるじゃない(笑)。僕らはそういう次元ではやってないんだよね。あくまでも楽しんでやっていることだから
出典:wikipedia
ピントがずれてるよね。ロック好きなヤツがバンドやって、そうならない方が不思議だよ。遊ぶ側のセンスだし、聞く人のセンスの問題だと思うけど
出典:wikipedia
オマージュというかパロディの要素もあるかもしれない。
仮に著作権を侵害しているのなら、B`zはとうの昔に罪に問われているだろう。
疑惑のある楽曲をいくつか聴いたが、ファンであっても普通は擁護できないレベルのパクリだと思う (尤も、熱烈なファンはオマージュだと言い張っているが筆者は別にどちらでも構わない) 。
にもかかわらず、エアロスミスと仲良く共演しているという事は、少なくとも現状では何も問題がないことの証ではないだろうか。
また、国内CD総売上1位、アメリカでのライブツアー成功の実績、過去の受賞者である「スティーヴ・ヴァイ」の推挙などの理由により、2007年「ハリウッド・ロックウォーク」に殿堂入りしている。
エルヴィス・プレスリーやジョン・レノンも殿堂入りしている由緒ある賞だ。
これは単なるパクリバンドが受賞できるほど安い代物ではない。
選考の時点である程度楽曲の精査もされるだろうし、結果的に何も問題はないと判断されたのではないか。
それ以前に、スティーヴ・ヴァイもB`zが相応しいと思って推挙しているはずだ。
また、何かあれば責任問題になるのだから、パクリだらけのアーティストを勧めるなんてありえない。
まあ実際はパクりだらけだが、アメリカの感覚では、B`zレベルのパクリは「オマージュ」「パロディ」の範疇に収まっているということだろう。
日本人の感覚でいえば明らかにパクっているはずだが、多くのファンに愛され、栄誉ある賞まで手に入れた。
それは、B`zにしか出せないカラーが楽曲に宿っているからだと思う。
酷いパクリでどうしようもない曲でも、やはりB`zらしさは感じられる。その点だけは素直に認めるべきだ。
そもそも、B`zがただのパクリバンドなら30年もの間トップを走り続けられるはずがないのだから。
B`zのパクリ問題 まとめ
前回のパクリに関する記事と重複する部分もあったが、B`zに対する筆者の見解を述べてきた。
結局パクリかどうかはアーティスト側に判断を委ねるしかないと思う。
当事者であるB`zやパクられたアーティストたちだ。
リスナーは楽曲を聴いて好きか嫌いかだけ決めればいい。
いぜれにせよ、パクリに対して非難できるのはパクられたアーティストだけだと思う。
B`zのことを嫌だと思ったなら聴かなければいい。彼らがどれだけパクろうがこちらにはいっさい迷惑は掛からないのだから。
最後にこれだけは言いたい。
基本的にアンチは頭が固すぎる。
「パクリだ!」と息巻いている暇があるなら元ネタと併せて適当に楽しめばいいのだ。
その方が何倍も建設的だと思うし、もしそれが出来ないのなら、たかが音楽と割り切って距離を置けばいい。
いい年した大人なんだからそれくらい出来るだろう。
それではまた。
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