【初心者でも出来る】音楽レビューの書き方講座
先日「Peing-質問箱-」でレビューに関する質問を頂いた
難しく考えず曲を聴いて湧きあがった感情をすべて文章にぶつければ良いのではないでしょうか。褒めるだけでなく、気に入らなければネガティブな意見も素直に書くべきですし。複数の感情が入り混じっていた方が読み物…
— すいとう🎸音楽ブログ (@nroblog) March 21, 2021
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当ブログは音楽メインの雑記ブログで、記事の1/3程度はディスクレビューで占められている。
質問をくれた方は、おそらく筆者のレビューを読んでくれた読者さんだろう。
いい機会なので、自分の文章法を一度総括するためにも『レビューの書き方』を記しておこうと思う。
一応、質問箱の方で簡単に回答はしているけど、当稿はそれを引き延ばしたものと考えてほしい。
断っておくと、自分のレビューが優れているなんて一度も思ったことはない。ましてや、他人様に教えられるような高度なノウハウも身に付いていないと思う。
ほとんどは、本やネットで目にした『コツ』みたいなものを、自分なりにアレンジにして実践しているに過ぎない。
ただ、とあるインディーズアーティストの方から「ブログで紹介してほしい」と直々に執筆依頼を頂いたこともある。
単純に「認められた」という部分は天にも昇る気持ちだし、一応は及第点に達しているのかなと思うので、参考になる部分だけでも取り入れてもらえたら幸いだ。
レビューの書き方
偉そうに"レビューの書き方"を解説していくわけだが、筆者がやっていることなど何も難しいことではない。
理屈をこねて解説しているサイトはいくらでも見つかるけど、まず「気軽に書いてみること」が大切だと思う。
今回質問をくれた方も、レビューが書きたいのに手が止まっているのではないだろうか。
それでは元も子もないので、今回は今すぐトライできるようにレビューに関する"考え方"をメインにお伝えしていこう。
良いレビューとはなんだ
「良いレビュー」の条件とは、その曲を聴きたくなるレビューかなと思っている。
プロのライターや人気の音楽ブロガーのレビューを見てみると、読ませる文才があるし、高度な比喩表現や、聴きなれない音楽用語を駆使していることが多い。
だが、それが必ずしも良いレビューとは限らないのだ。
それらのレビューを冷静になって読んでみると、結局何が言いたいのか伝わらないとか、それらしい事が書かれているけど結局何も言っていない物もある。
個人ブログを挙げるとまた角が立つのでやめておくが、ロッキング・オン・ジャパンのレビューはまさにこれに該当する。
比喩表現が頻繁に登場するのだが、結局何も伝わらないといった事がたまにあるのだ。一時期は某巨大掲示板でも度々揶揄されていた。
もちろん筆者のレビューも他人の事が言えるレベルではない。そこはツッコまず生暖かい目で見よう。
つまり何が言いたいのかというと、「文才」があったり「難しい表現」を使っていても、伝わらない人間にはどうやっても伝わらない場合もあるということだ。
『小学生の作文に感動』なんて話題がたまにネットを騒がすけど、人の心を動かすのは高度な文章力だけではない。いかに感情を籠めるかが決め手になる時もある。
当然例外もあるし、感情を的確に表現するために、ライティングテクや専門用語を駆使するという側面もあるだろう。
当たり前だが、文章をより良くする上で、テクニックや知識は無いよりはあるに越したことはない。
しかし、そればかりに固執したら難しく考えて手が止まってしまう恐れもある。しかも、高度な文章スキルを使ったところで、それが共感されるとも限らない。
だったらとりあえず、曲を聴いた際に何を感じたかという「感情」を最優先すべきかなと思うのだ。
豊かな表現力の参考になるサイトも最後に紹介するけど、文章テクニックは本当に最後でいいと思います。
レビューは状況説明だ
とにかく、曲を聴いて感じたままを、ありのまま文章にすれば良い。
ただし、レビューを「感想」と捉えてしまうと途端に難しく感じる。
したがって、「感想」ではなく、あくまで「状況説明」という感覚で文章にしてみよう。
- 曲や歌詞がどんな構造になっているか
- 曲を聴いた後どんな気持ちになったか
それらを言葉で説明してやればいいと思う。
レビューは突き詰めて考えると
- 「良かった」 or 「悪かった」
のどちらかで大体は片が付いてしまう。
でもそれだけではあまりにも味気ないし、読み物としてまったく面白みがない。それこそツイッターでつぶやけば一言で済む。
そのために、ブログなど長文が書けるプラットフォームでレビューを書くわけだが、書き慣れていない人は何を書けばいいのか迷って筆が止まってしまう。
それを解消してくれるのが「状況説明」だと思っている。
どんな曲なのか説明する
別に難しく考える必要はない、事実をシンプルに説明してみよう。
- どういった経緯で生まれた曲なのか
- どういった構造の曲なのか
- 鳴っている楽器や歌の様子など
分からない部分は調べればいいし、調べても分からなければ飛ばしてしまえばいい。
作品が生まれた背景を書く
どういった想いで作られたのか、誰が作った曲なのかなど、曲に対する情報を羅列するだけでもいい。
たとえば「デビューシングル」「活動○周年を記念したアルバム」ということが分かれば、アーティストの気合が込められていると何となくでも伝わる。
また、楽曲制作者が著名な人物なら比較的イメージしやすくなる。
ジャンルを書く
どんな曲なのか伝える際に有効なのが、レビューしたい曲の「ジャンル」を提示すること。
そうすれば、読者は曲のイメージが沸きやすくなるため、後のレビューもスムーズに読んでもらえる可能性が高くなる。
ただし、どうしてもジャンルが分からない曲が出てくると思う。
ネットで調べればジャンルが判明する場合もあるけど、どうしても分からない時はYahoo知恵袋などのQ&Aサイトで訊くのもひとつの手ではないだろうか。
答えが分かれば、それが自分の知識として積み上がるので一石二鳥だ。今後同じ系統の曲をレビューする際に、さらに的確に表現できるかもしれない。
それでもどうしても分からない場合は、似たような曲を例に挙げることも有効。
「○○(バンド名)の○○(曲名)を彷彿とさせる」なんて書けばそれらしくなる。
似ている曲さえ分からない場合は、もうイメージを伝えるしかない。
というか、本来はジャンルを提示して、尚且つ曲のイメージも伝えるのがベストだ。
曲のイメージを伝える
■曲のイメージ
- 疾走感
- ヘヴィ
- ポップ
- 叙情的
- ミステリアス
- 力強い
- 切ない
- 勇壮
- 壮大
曲を最初に聴いて抱いたイメージを何となくでも伝えればそれらしくなる。
「それらしくなる」を連発してしまったが、ほとんどのレビューは曲のイメージさえ伝えきれていないので、ここまでの方法だけでもかなり差別化できるはず。
素人の書くレビューを冷静になって読むと気が付くと思うけど、
- 「滅茶苦茶カッコよかった」
- 「テンションが上がった」
のような、本当にざっくりとした感想しか書かれていない。
偉そうに語っている筆者もこのタイプのレビューがいくつもある。
「レビューは感情が最優先」と既述したけど、曲の説明がなければ単なる個人の感想に留まってしまう。
別にそれでも構わないが、より良いレビューを目指す場合は「どういった楽曲なのか」を説明しなければならない。
たとえば「ポップ」と感じた曲があるとする。
ひとことで表すなら「滅茶苦茶ポップで良い曲だった!」で終わってしまう。
ここで「どこがポップなのか」を説明するのがレビューだと思う。
深く考えなければ「全体的にポップ」という感想しか抱かないのが普通のリスナーで、
そこをあえて堀り下げて考えるのがレビューかなと。
Q:どこがポップなのか?
A:キーボードの音色がポップだった。
Q:どの箇所のキーボードがポップなのか?
A:間奏のキーボードがポップだった。
Q:それはどのようにポップなのか?
A:リズミカルで思わず体が動いてしまうような感じ
といったやり方で、「ポップ」だと感じた部分を次々挙げて説明していく。
「こんな単純な表現でも良いの?」と思うかもしれないが、何度も言うがこの段階にさえ至っていないレビューの方が多いし最初はこれくらいで十分だと思う。
キーボード以外でも、ギター、ベース、ボーカル何でも良いけどポップだなと感じた部分を徹底的に挙げて、その部分をいかにポップなのかを文章で表現しよう。
仮に「キーボード」以外にポップな要素が見つからなければ、そこで切り上げるか、キーボードについてさらに掘り下げるかしかない。
歌詞について言及する
筆者は一部アーティストを除いて歌詞に興味がないため、レビューで歌詞を取り上げることは少ない。
しかし、楽曲を説明する上で「歌詞」に言及することは、イメージを伝えるには打ってつけだと思う。
そもそも日本人は、サウンドよりも歌詞やメロディを重視する傾向にあるため、レビューで歌詞を扱うことは尚更有効ではないだろうか。
『楽曲レビュー』と銘打っていても、ほぼ歌詞にしか言及してない個人サイトは無数に存在する。
それは運営者が、歌詞をメインに楽曲を聴いているのかもしれないが、歌詞のみに言及することが需要のあることの証拠だと思っている。
印象的な歌詞の一節をピックアップして「アーティストは何を伝えようとしているのか」といった考察的な内容にするのも良いし、英詞なら和訳した上で、それについて自分の考えを述べるという方法もある。
歌詞は「言葉」の集合体なので、サウンドを文章にするよりは簡単だと思う。
もしあなたが歌詞に注目して音楽を聴くという自覚があるなら、歌詞を中心にレビューを組み立てていくのも一つの案ではないだろうか。
曲を聴いてどんな気持ちになったか
先程は曲の状況を説明したが、今度は曲を聴いた後の自分の状態を文章で表現すればいい。
つまり、曲を聴いて抱いた"感想"なのだが、例によって『感想』と捉えると難しくなるので、「自分がどんな感情を抱いたか文章で説明する」と考えよう。
- 胸が躍る
- 希望が湧く
- 癒される
- 爽やか
- 悲しい
- 美しい
- 哀愁漂う
などなど、曲を聴いて何かしら心が動いたその状態を、どんどん掘り下げていけばいい。
たとえば、"ある曲"を聴いた際に湧き上がる感情は一つではないと思う。
- カッコいい&儚い
- 悲しい&美しい
- 勇壮&可愛らしい
上記は二つの例だが、同時に3つ4つと感情が生まれることもある。
その際は、感じた想いをすべて文章にしてしまおう。
複数の感情が交差することで文章に深みが出て、それがレビューの説得力に繋がる。
基本的に「レビュー」には明確なルールは存在しない。
文章のどこに自分の感情を入れ込んでも問題はない。
たとえば、『イントロのギター』がどういった物かを説明している最中に、その箇所について感じた想いを一緒に記載すれば、「解説」自体に立体感が生まれる。
また、記事の冒頭で、作品全体から感じたイメージや抱いた感情を挙げれば、文章の"つかみ"になってそのあとも読んでもらいやすくなるかもしれない。
ダメな部分も気にせず書いてしまおう
特にアルバムをレビューする際に心がけてほしい。
アルバムはタイプの異なる楽曲がまとめられている事がほとんど。自分の好みに合わない曲が収録されていてもおかしくはない。
また、楽曲単位でなくとも、作品全体を通して「曲はカッコいいけどメロディが全く耳に残らない」ことだってあるだろう。
思ったことを文章にするのだから、ネガティブな感情が湧いた際は、それも包み隠さず記載するべきだと思う。
ただし、延々とネガティブな内容にするのも雰囲気が悪くなるので、褒める箇所とのバランスを考えて盛り込んでいこう。
あと、ネガティブなことを書く際はどうしても角が立つので「ダサい」のように言い切ってしまうのは避けた方が良い。
- 「自分には合わなかった」
- 「こうしてくれたら好きになれる」
といった表現にとどめておけばファンが読んだ時もトラブルにならずに済む。
筆者の場合は、性格的に「ダメなものはダメ」とストレートに表現してしまうため軽く炎上してしまうが、これは悪い例なので絶対真似をしてはいけない。
先日以下のレビューにて少しだけ気に入らない箇所を指摘したら、ファンらしき人物にツイッターにて烈火のごとく叱責された。
本来「音楽」は趣味嗜好が大きく出る部分で、様々な意見があってしかるべきだと思う。ただ、事を荒立てたくない場合はマイルドな表現を心がけた方が賢明だ。
そうでないと、筆者のように赤の他人に罵詈雑言を浴びせられることになる。
このように、少しだけ気を付けなければいけないが、様々な感情が入り混じっていた方がレビューとしては面白い物になるのでぜひ取り入れてみてほしい。
高度な表現にチャレンジしたい時
では最後に、より情景が伝わる文章にする際に役立つサイトをいくつか紹介して終わろうと思う。
上述したけど、表現力や比喩は無いよりあった方が良いに決まっているのでぜひ参考にしてみてほしい。
連想類語辞典
別の言葉を使って同じ意味を数回用いたい場合や、さらに的確な言い回しをしたい、よりインパクトのある言葉を使いたい、といった際に重宝するサイトだ。
日本語表現インフォ
『小説・コラム・ブログなど書き方の参考書』とあるように我々ブロガーの強い味方。
特に"五感"(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を使った表現をする場合や、感情の表現に変化を付けたいとき、物や人物の状況についてイメージを膨らませたいときに使えるサイトだ。
反対語大辞典
対義語、反対語、反意語、反義語を調べられる便利なサイト。
言葉を的確に対比させることで、文章の表現力は見違えると思う。
上手く言葉を対比させられることができれば、一目見ただけで分かりやすくなるしインパクトも与えやすくなる。
対義語・反対語辞典
つづいても「反対語」を調べることが出来るサイト。
「反対語大辞典」との違いは、五十音順に一覧で表示されるため、一度にざっと言葉を知りたいときなどに重宝する。
四字熟語、三字熟語、慣用句、物の数え方
なども調べられるため、正しい日本語使って文章を書きたい場合にぜひ参考にしてみてほしい。
ネガポ辞典
スマホで使える無料アプリ。ネガティブな表現をポジティブな表現に変換してくれる。
本来はネガティブな意味合いでも、ポジティブな言い回しにすることでより印象的な表現となる。
頭で考えただけでは絶対に出てこないような、なるほどという表現に出会えるので一度使ってみてほしい。
オノマトペ辞典
オノマトペとは
自然界の音・声、物事の状態や動きなどを音(おん)で象徴的に表した語。音象徴語。擬音語・擬声語・擬態語など。
特に日本語では感情や五感を「オノマトペ」で表現する場合が多いので、レビューに取り入れることが出来れば、直感的にイメージしやすくなることがある。
ただし、「オノマトペ」を使い過ぎると、子供じみた印象を与えることもあるため乱発は禁物。
ここぞという時に使えば、手っ取り早く親しみやすい文章になるのでバランスを考えて取り入れていこう。
レビューの書き方 まとめ
ということで、今後「レビューを書いてみたい!」という初心者向けに書き方を解説してきた。
今回はとりあえず書き始めてほしかったからこんな内容にしたけど、感情が一切感じられなくとも素晴らしいレビューなんてのはいくらでも存在する。
だが、初めからそこを目指すと絶対に手が止まるから、上手く文章を書こうと思わず、音楽を聴いて抱いた感情を素直に表現してみよう。
文章力はあとでいくらでもついてくるはずなのでお互い頑張りましょう。
それではまた。
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