「ジャパメタ好きは絶対聴くべし」な超名盤 CASBAH「Reach Out」レビュー&感想
今回はCASBAHが2016年にリリースしたアルバム「Reach Out」のレビューをしていきたい。
CASBAHは、2021年現在wikipediaも存在していないマイナーバンド。
当ブログの読者さんも知らない方が多いかもしれないが、80年代スラッシュメタル/ハードコア・パンク・シーンの最重要バンドである。
2000年に活動休止し2013年活動再開。
今回紹介している「Reach Out」は、実に16年ぶりのフルアルバムとなっている
筆者は、再始動後というか、2020年(or 2019年)に初めて「CASBAH」というバンド名を知り、「Reach Out」を聴いたのだが、凄まじい熱量を誇る最高にイカしたメタリックなアルバムに仕上がっていた。
CASBAH「Reach Out」収録曲
CASBAH「Reach Out」レビュー&感想
☆おすすめ曲 ⇒ 1/2/5/6/7/9
アルバムを聴き終えた最初の感想は「暑苦しいなぁ」だった。
これはもちろんいい意味で、筆者は暑苦しいロックが大好物。
涼しげなサウンドのオシャレなバンドも、それはそれで好きなのだがロックにはアツさを求める傾向が強い。
CASBAHの「Reach Out」はアツさという点でいえば、100点満点中200点の暑苦しさがある。
サウンド的にはメタルとハードコアの良いとこ取りといった感じで、一時期の「waterweed」のような雰囲気も感じられた。
最近のラウドロックが好きならチェックしておいて損はないだろう。
演奏に関しては、決して上手いとはいえず粗の目立つ部分もある。
しかし、それがむしろ絶妙なライブ感を生み、サウンドもボーカルもすべてが生々しく響いてきた。
自分たちのロックを、ど真ん中ストレートに投げ込んでくるような力強さも感じられる。
そういった熱いサウンドから、「これからも走り続けるぜ」といった、CASBAHの決意表明が嫌というほど伝わってきた。
ジャンルの性質上、メタルサウンドに馴染みのないリスナーが聴けば「全部同じに聴こえる」と言われそうな作風だが、過去のアルバムと本作「Reach Out」を比較すると、楽曲のバラエティの幅は格段に広がっている。
従来の作品は力技でねじ伏せる楽曲がほとんどで、それがCASBAHの魅力でもあった。
ところが本作では、サウンドに緩急がつけられて、ずいぶんカラフルな印象に生まれ変わっている。
この辺りは時代性も考慮して制作されたのかもしれないが、基本「無骨」なスタイルであるのは間違いない。
羽鳥恭充のボーカルが素晴らしい
熱いサウンドで構成されたアルバムの中で、特筆したいのが羽鳥恭充(Vo)の歌声。
野太い声で吐き捨てるような叩きつけるような、とにかく迫力のボーカルを聴かせてくれる。
筆者がCASBAHにハマったきっかけのひとつが羽鳥恭充の声だ。
彼の声は最高に男らしくてカッコいい。
その驚異的な存在感は極上の高揚感を与えてくれた。ボーカルの声でここまで血が滾ったのはいつ以来だろうという感じ。
CASBAHの極めて激しいサウンドとも最高にマッチしている。ボーカルとサウンドがお互いを高め合っているかのようだ。
ちなみに羽鳥は、CASBAHが活動停止中、音楽から離れた生活をしていたらしい。
10年以上ぶりのボーカルで、これほど説得力のある声が出せるというのは本当に恐れ入る。
とはいえ、ストロングスタイル一辺倒ではなく、あえて抑えめの声で歌い上げる5曲目「How Long」、9曲目「Inside Me」のようなナンバーでも、他の曲にはない表現力が堪能できる。
キャッチーな歌のメロディ
サウンド面以外で過去作との大きな違いは、より豊かになった「歌(メロディ)」の存在だろうか。
以前はハードコア的なアプローチの歌が目立っており、単純にメロディが弱く「歌モノ」といえない作風だった(尤も、ファンがメロディアスな楽曲を期待していたとも思えないが)。
それが「Reach Out」では、いずれの楽曲にも流麗なメロディが搭載されており、しっかりと「歌」の存在感があるのだ。
力強すぎるボーカルスタイルのおかげで、メロディアスに聴こえないかもしれないが、そこには確かに歌心が宿っている。
「Reach Out」を聴く際はメロディの良さもぜひ意識してもらいたい。
CASBAH「Reach Out」レビュー&感想 まとめ
ということで、CASBAHの「Reach Out」をレビューしてきた。
最近知ったばかりで、ファン歴としては極めて浅いけれど、今の作風で活動を続けてくれたら、ずっと聴き続けられる本当に大好きなバンドになると思う。
今後の活動にも大いに期待しています。
それではまた。
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