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BAND-MAID『Unseen World』レビュー&感想 ~進化したメロディ/リフを聴き逃すな~

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今回は2021年1月20日リリースされたBAND-MAID (バンドメイド) 4枚目のアルバム『Unseen World』をレビューしていこう。

 

当ブログでBAND-MAIDの作品を取り上げるのは初めてだが、実は数年前から追いかけているバンドだったりする。 「メイド姿+ハードロック」というふれこみでデビューしたBAND-MAID。作品をリリースするたび楽曲のクオリティが上がっており、今回の『Unseen World』もリリース前からかなり楽しみにしていた。

  

 

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BAND-MAID『Unseen World』は三形態

レビュー前に、CDを購入したいという方のため一応注意喚起しておきたい。

形態によって収録曲が一部変更になっているからだ。

 

『Unseen World』は三形態でのリリースとなっている。

 

ではざっと特徴を挙げていこう。

 

完全生産限定盤

・2CD
Blu-ray(マルチチャンネル対応)
・STUDIO PHOTOBOOK(36ページ)

この盤でしか聴けない「Youth」が収録されている。

 

 

 

初回生産限定盤

・CD
・DVD

収録曲は配信と同様。

 

 

 

通常盤

・CDのみ

この盤でしか聴けない「without holding back」が収録されている。

 

 

収録曲をまとめると以下のようになる 

1. Warning!

2. NO GOD

3. After Life

4. Manners

5. I still seek revenge.

6. H-G-K

7. サヨナキドリ(SAYONAKIDORI) -Nightingale

8. Why Why Why

9. CHEMICAL REACTION

10. Giovanni

11. 本懐(HONKAI) -Ambition

12. BLACK HOLE

- 初回生産限定盤、配信はここまでが聴ける -

 

13. without holding back

- 通常盤のみに収録 -

 

3. 「Youth」

- 完全生産限定盤のみに収録 -

 

 

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BAND-MAID『Unseen World』レビュー&感想

結論から言えば、本作はかなりの名盤であり、筆者の中ではBAND-MAID史上最高傑作

 

購入しようか迷っているファンの方は、迷わず手に入れてください。ここまでストレートにカッコいいアルバムにはなかなか出会えないはず。

 

Spotifyで全曲配信されているので、ハードロック好きも絶対聴いた方がいい。聴かずに通り過ぎては人生損するレベル。筆者は何かの作品をここまで勧めることは少ないので、つまりはそういうことです。

 

 

ここ最近のEPやアルバムはハズレがないと思っているけれど、『Unseen World』は特に素晴らしい。1~3曲目の流れは近年の作品の中でも抜群ではないだろうか。

 

メタラーである筆者の琴線に触れまくってくる破壊力抜群のリフを筆頭に、見違えるほど洗練されたボーカルのメロディライン。すべてが高次元で融合し、BAND-MAIDの世界を作り上げている。

 

 

アルバム収録曲の、YouTube動画のコメントでも、絶賛する声が多数あった。文体から察するに、ハードロックを聴いたことのないような若めのリスナーが「こんな曲聴いたことない」だとか「日本最高のバンド」と発言しているのは非常にうれしい限り。あと印象的だったのは、ガンズと肩を並べたなんて言っているおっちゃん。それはさすがに言い過ぎかと思うが、素晴らしい作品であることは間違いない。

 

 

驚異的な進化を遂げたメロディライン

筆者は、BAND-MAID「メロディ」に関して、正直ムラがあると感じていた。楽曲によってはメロがほとんど耳に残らない物もあったほど。こう言ってはなんだが、初期の作品は(曲によるが)かなりひどかったと思う。かゆいところに手が届かないというか、メロディの乗せ方に違和感を覚えることも珍しくなかった。当時は「音はかっこいいのにもったいない」と常々感じていた。

 

 

BAND-MAIDは二枚目のアルバム『WORLD DOMINATION』まで、外部の作家がいくつか曲を提供している。

レコード会社としては、メンバー作の楽曲だけでは心許なかったのではないだろうか。先ほども書いたけれど、実際1st、2ndアルバム辺りは自作曲でもかなりのムラがある。

 

 

そして前作『CONQUEROR』にて作曲のすべてがBAND-MAID名義になった。

この作品も素晴らしい楽曲が揃っている。

 

収録曲「The Dragon Cries」では、デヴィッド・ボウイT.Rexなど、そうそうたるメンツと仕事をしている、世界的な音楽プロデューサーのトニー・ヴィスコンティとタッグを組んでおり、その時の経験が『Unseen World』の驚異的な進化に繋がっているのかもしれない。

 

本作は、とにかく気持ちの良いメロディが満載で突き抜けた感がある。飽きずに何周でも聴き続けられる中毒性を持ったアルバムだと思う。

 

 

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『Unseen World』のサウンド

『Unseen World』は「原点回帰」「現点進化」をアルバムのテーマに掲げ制作されたようだが、まさにその通りなサウンドになっている。ファンが思い描くBAND-MAIDらしさはそのままに、新たな表現にも果敢にチャレンジしており、これまでの活動の集大成ともいえる、熱の籠った迫力のサウンドが聴きどころ。

 

基本のハードロック路線は変わらずだが、楽曲によってはハードロック以上メタル未満といった、絶妙なサウンドを鳴らしており、筆者の好きなスラッシュメタル的なリフも楽しめる。

 

ハードロックを主体とするBAND-MAIDのようなバンドは、現在の邦楽ロック界で珍しい存在だと思うので、ぜひともこの路線で行けるところまで駆け上がってもらいたい。

 

 

ハードとポップのバランス

上述したように、メロディが特に際立っているアルバムなのだが、全体を通して、上手く歌を活かすアレンジになっていると感じた。基本的にメロディラインの邪魔をしないような音の配置になっているが、歌とかぶる部分も、メロディに寄り添うパターンが多く、違和感のない自然な仕上がりとなっている。それでいて、ハードに聴かせる部分はしっかりと仕事をこなすという「らしさ」は失われていないため、ハードロック好きも安心して聴けるのもポイントが高い。

 

 こうした要素を一言で表現するなら「ハードとポップの絶妙なバランス」だろう。

 

 

『Unseen World』で聴くことができる「ハード」と「ポップ」のバランスは、個人的にSIAM SHADEの域に達していると感じた。いずれの要素も高いクオリティになったおかげで、「ハード好き」「ポップ好き」どちらのニーズも余裕で満たせるので、訴求力はかなり高い。

 

 

テクニカルなプレイ

以前にも増して、テクニカルで細かなプレイが目立つようになった本作。にもかかわらず、マニアックで複雑に聴こえないキャッチーさも併せ持つ。ここでも秀逸なバランス感覚が光る。全楽曲メンバーのみで編曲しているのだが、相当にスキルアップしていることが伺えた。

 

ありきたりに感じるフレーズでも、実はとんでもないことをやっていたりするため、そういう意味で、リスナーがプレイヤーの場合は、より一層楽しめるアルバムかもしれない。

 

 

モダンなアプローチにもいくつか挑戦しているが、基本はクラシックなロックスタイルを踏襲したフレーズが多い。リスナーによっては「古い」と感じるかもしれないけれど、「音」自体は現代的な質感になっているため問題はないだろう。ハードロックに馴染みのあるリスナーならニヤリとできる部分が多いし、馴染みがなければ、まったく新しいサウンドとして、驚きとともに純粋にサウンドを楽しめるはずだ。

 

 

BAND-MAIDのリズム隊については、当ブログでも以前どこかの記事で言及しているが、彼女たちのサウンドの中でも筆者がかなり評価している部分である。本作でも、手数の多いドラミングと暴れまわるベースをたっぷり聴くことが出来る。BAND-MAIDサウンドになくてはならない強烈なスパイスであり、楽曲をクールに聴かせるための重要な装置である。

 

  

BAND-MAID『Unseen World』レビュー&感想 まとめ

ということで、BAND-MAID『Unseen World』のレビューをしてきた。

 

いろいろと語ってきたけれど、一番の聴きどころはやはり「メロディライン」だろう。

 

筆者のように、以前のBAND-MAIDに満足できなかったリスナーにこそ聴いてもらいたい。驚くべき進化を遂げているのが分かってもらえると思うし、彼女たちに対する見方もきっと変わるはず。

 

いずれにせよ「歌」がより前面に出ている作風なので、J-POP好きにも迷わずお勧めできる。まぁ音は少しうるさいかもしれないが。

 

 

「原点回帰」「現点進化」なアルバム『Unseen World』。

 

メロディライン以外も、聴きどころは到る処に転がっているアルバム。1秒も聴き逃さず、そのすべてを楽しんでもらいたい。

 

それではまた。

 

 

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