BAND-MAIDが海外で人気爆発した2つの理由
メイド × ハードロックというコンセプトで活動中の五人組ガールズバンド「BAND-MAID」。
2021年1月13日から全世界同時配信をスタートさせた四枚目のアルバム『Unseen World』が、Worldwide iTunes Album Chartで初登場世界2位を記録。
国別のランキングでも軒並み高い順位を記録しており、その勢いはとどまるところを知らない。
さらには、Netflixの新作映画『KATE(原題)』で、ハリウッドデビューを果たすことが発表された。このまま順調に走り続ければ、第二の「BABYMETAL」も夢ではない。そんな期待を抱かせてくれる大活躍ぶりである。
当稿では、向かうところ敵なしのBAND-MAID人気はどこから来るのか、なぜ世界中でここまで支持されているのかを各種情報を元に語っていきたいと思う。
- デビュー当初より海外進出の予定があった
- メイド服なのに骨太なロックサウンドが人々を魅了
- サウンド面での試行錯誤
- 今後も続く?BAND-MAIDの快進撃
- BAND-MAIDは唯一無二の存在になる
- BAND-MAIDは海外でなぜ人気が爆発したのか まとめ
デビュー当初より海外進出の予定があった
BABYMETALを筆頭に、ONE OK ROCK、CRYSTAL LAKE、Crossfaith、coldrainなど、所謂「ラウド系バンド」の海外での活躍が目覚ましい昨今。
2013年7月に結成されたBAND-MAIDも、結成直後から、海外進出を目指した活動を行っていたのだ。
それは以下のインタビューなどからも伺い知ることが出来る
【インタビュー】BAND-MAIDが世界征服を目論みアルバム『WORLD DOMINATION』をリリース! | 歌詞検索サイト【UtaTen】ふりがな付
2016年3月27日、BAND-MAIDは、アメリカ・シアトルのイベント「Sakura-Con」にて初の海外ライブを敢行する。
このイベントは、日本文化を紹介するコンベンションイベントであり、約3000人の観客を前に、堂々たるステージングを披露した。
同イベントで手応えを感じたメンバーたちは、同年5月、イギリスで開催されたポップカルチャーイベント『MCM COMIC CON』へ立て続けに出演する。
『MCM COMIC CON』は、ビデオゲーム、SF、コスプレ、その他人気メディアに焦点を当てたイベントになっており、日本でいうところの「コミケ」のようなものだろうか。
この時のライブでも、着実に結果を残したBAND-MAIDは、10月からメキシコ、イギリス、ドイツ、フランス、ポーランド、イタリア、スペイン、香港という、8ヵ国9公演のワールドツアーを開催。
いきなりドカンと売れてきたようなイメージもあるが、2016年の段階で、世界進出の足がかりを構築し始めていたのだ。
メイド服なのに骨太なロックサウンドが人々を魅了
BAND-MAIDの武器は何だろうと考えると、メイド姿のメンバーが繰り出す、ゴリゴリのハードロックサウンドだ。
つまり「メイド/ハードロック」という、相反する要素が、見るものにとてつもないインパクトを与え、その強烈な印象が、そのまま彼女たちの人気に繋がったと容易に予想できる。
そもそも「メイド × ハードロック」というコンセプトを思いついたのは、ギターボーカルである「小鳩ミク」だったようだ。
ちなみに、BAND-MAID結成に関する秘話は、事務所によって一部作られたシナリオになっている。コンセプトが大切なバンドであるため、販売戦略として、それもやむなしだろう。
したがって、現在メディアでメンバーが発言している結成秘話と、真実は少し異なっている。
筆者としては、音がカッコよければメンバーの出自等はどうでも良いし、今回は記事の趣旨ではないので、内容については割愛するけれど、気になる方は、ググればまとめてくれているブログがあるのでそちらを参照してみてほしい。
話を戻すが、結果的に「小鳩ミク」の掲げた、「メイド × ハードロック」というコンセプトが見事に当たったということになる。
ひとつ前の項目で挙げた、海外でのイベントは、いわゆる日本のオタク文化に造詣が深い観客も多かった。そして、BAND-MAIDのライブでのパフォーマンスは、秋葉原のメイド喫茶の雰囲気を持ち込んだもの。
つまり、サウンド以外の世界感が、海外のオタクのハートを打ち抜いた形になったのだ。
サウンド面での試行錯誤
順風満帆に見えるBAND-MAIDの活動だが、実は音楽性で迷っていた時期があった。
今でこそ、「ハードロック」というイメージが定着しているが、そもそも、どういった音楽ジャンルで勝負しようか決めかねていたのだ。
転機が訪れたのは、 1stシングル「愛と情熱のマタドール」。
同シングルに収録された「スリル」がきっかけとなり、ハードロックを自分たちの表現の形に選んだ。
しっかりハードロックを通ってきたメンバーはいなかったようだが、元々持っていた、各メンバーの高いプレイスキルと、たゆまぬ努力が実り、ハードロックを自分たちの物とした。
音楽性をハードロックにした理由は言うまでもなく「ギャップ」を狙った販売戦略に他ならない。「小鳩ミク」もその旨を以下の記事で発言している。
「見た目がこうだと“演奏も可愛い感じなのかな”って思われることがどうしても多いんです。でも、それは私たちとしてはプラスだと思っていて、音を鳴らした瞬間に、会場にいる方が“あっ!”という顔をすると“よし”って思いますからね。ちょっとナメてたでしょ?って」
BAND-MAIDが海外で人気が出たのは、自分たちがリスナーからどう見えているのか、客観的な視点で物事を捉えられる、「小鳩ミク」の、ある種の才能があったおかげだろう。
そして、ハードロックバンドとして、しっかりとサウンドで提示できたことも大きな理由である。
現在ヒップホップが世界的なムーブメントとなっている。
特に欧米ではその傾向が強いといわれている中、メインストリームとは正反対の「ハードロック」で勝負する姿に、人々が感銘を受けたという部分もあるだろう。
リスナーたちが忘れていた「ロック魂に火を付けた」といっても良いかもしれない。
今後も続く?BAND-MAIDの快進撃
2019年4月にはU2、レディ・ガガ、マドンナなどを手がける、ライブプロモーション世界最大手の「ライブ・ネイション」と提携。同年11月には、ONE OK ROCK、BABY METALにも関わる、アメリカ最大手のブッキングエージェンシー(日本の芸能事務所に相当)「ユナイテッド・タレント・エージェンシー」と契約。
そして、時期は未定だが、Netflixの新作ハリウッド映画『KATE(原題)』にて、BAND-MAIDとして出演することが決定している。
こうして一連のニュースを見ると、今後の躍進は、ほぼ約束されているようなもので、つまらない不祥事等を起こさない限り、本当にBABYMETALのような唯一無二の存在になれる気がする。
BAND-MAIDは唯一無二の存在になる
なぜこう言い切れるのかというと、現状で同じようなコンセプトのハードロックバンドが、日本はもちろん世界にも存在しないからだ。
音楽シーンというのは、基本的にシェアの奪い合いになっている。だから、同じようなヴィジュアルの似たようなサウンドのバンド/アーティストがいくつも生まれるわけだ。そうすることで、シーンが飽和し、また新たなムーブメントが起こる。
しかし、BAND-MAIDの立ち位置は、それとはまったく別の物。
並び立つ者がいないので、存在をかけた競争をする必要がない。
仮に、何かの拍子で売れなくなっても、業界から即消えてしまうということはないだろう。
なぜなら、BAND-MAIDは替えのきかない存在だからだ。
ただし、BAND-MAIDは、世界中を見渡すまでもなく、サウンド的に目新しい部分は少ない。筆者は、彼女たちの音楽を非常に高く評価しているが、BAND-MAIDに匹敵する音楽的クオリティのバンドなどいくらでも存在する。
だが、彼女たちには「メイド」という誰も持っていない大きな武器がある。
音楽的にも間違いない物を持っているは確かなので、現状のスタイルを保って活動を続ければ、さらなる飛躍が期待できるはずだ。
BAND-MAIDは海外でなぜ人気が爆発したのか まとめ
ということで、BAND-MAIDの海外人気について、あれこれと語ったきたがいかがだただろう。
人気が爆発した理由は「メイド」「ハードロック」この2つである。
つまりバンドコンセプトそのものだ。
コンセプトが上手くマッチした結果が世界での成功に繋がったと筆者は考えている。
先日リリースされたばかりの新譜『Unseen World』も、名盤と呼ぶに相応しい出来だった。
作品を発表するたび、進化を続けるBAND-MAID。
今後も、世界を相手にどんな活躍を見せてくれるのか、期待しつつ記事を締めたいと思う。
それではまた。
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