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WANDSは90年代のJ-POPシーンを席巻したロックバンドである。

 

今回はWANDSのお勧め曲を紹介していくのだが、その前に、WANDSはバンドか否かということを少し語らせていただきたい。

 

WANDSはバンドなのか問題」は現在のネット界隈でもたまに話題に上がる。大活躍していた当時を知る熱心な古参ファンをはじめ、ヒット曲しか聴いたことのないようなライトリスナーの間でも、WANDSが「バンド」なのか「ユニット」なのか決めあぐねている感がある。これはB`zと同じようなものだが人によって捉え方が変わってくるということだ。パブリックイメージしてはバンドだと認識している人は少数な気もしているが、私の中でWANDSはバンドである。そして唯一無二のロックバンドだと思って今も聴いている。

 

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WANDSといえば誰もが思い浮かべるヒット曲「世界が終るまでは・・・」がある。

 

こちらは、アニメスラムダンクエンディングテーマに起用された。そのため世間的にはポップな歌を歌うグループとしてのイメージが強い。

 

しかし、筆者の中でWANDSといえば純然たるロックバンドである。

 

そう言い切ってしまうのには理由があって、WANDS黄金時代を支えた、上杉昇での存在が大きい。

上杉のロックンローラー然とした佇まいや、不器用そうな人間性が私は大好きで、上杉から強烈にロックを感じたのだ。故にWANDS全体に対してもロックというイメージが固定されてしまった。

 

特に、第二期WANDSの後期などは、上杉昇の思い描くロックを体現するためにWANDSが存在していたのだとさえ私は思っていた。

 

WANDSというバンドは2020年に活動再開しているが、それまでもメンバーが三度入れ替わっている。そして、そのたびに音楽性を変えてきた。

 

その中で私の好きな音楽性は、先ほども触れた第二期と呼ばれる時期にあたる。WANDSの音楽性がオルタナティブハードロックといったより純度の高いロックへと舵を切った頃だ。

 

筆者とは逆にデジタルポップ路線の第一期が好きなリスナーは、第二期の所謂ゴリゴリしたサウンドにハマれなかったらしい。

 

ちなみに、上杉、柴崎の抜けた第三期のサウンドは原点回帰を掲げただけあってかなりポップな音楽性に戻った。

 

 

というわけで、今回は数々の名曲を残してきたWANDSの隠れた名曲をいくつか紹介していきたい。

 

WANDSの楽曲と一口にいってもそのジャンルは多岐に渡る。

 

先ほども触れたがデジタルポップだったり、ハードロックオルタナだったり。同じバンドとは思えないほどバラエティに富んだ名曲が揃っている。今回はそんなWANDSの名曲の中から「シングル曲以外」という縛りを設け、筆者の独断でロックスピリットに溢ていると感じた隠れた名曲を紹介していこう。

 

 

 

WANDSの隠れた名曲

 

WANDS 隠れた名曲1:太陽のため息

この「太陽のため息」という曲は、WANDSの隠れた名曲として紹介される機会がやたら多い。それくらいファンにとっては大切であり、ファンならずとも名曲だと思わざるを得ないクオリティを誇る。解散後のベストアルバムのみに収録されていたので、下手したら隠れたままで世に出なかった恐れもある、そんな曲。

 

サウンド自体は二期後半で顕著だったギターの荒々しさはあるが、アレンジ自体は歌を前面に押し出した物になっておる。それはWANDSの曲すべてに云えるかもしれないが、普段ロックになじみのないようなリスナーにも聴きやすいはず。非常に覚えやすくキャッチーなサビメロだが、上杉の内省的な歌詞がひたすらヘヴィである。そのコントラストは第二期WANDS(後期)の持ち味というか最大の武器だと思っているので、そういった部分もぜひ楽しんでもらいたい。

 

この曲に限ったことではないが、筆者の選ぶWANDSの隠れた名曲というのは、上杉昇の孤独や苦悩、自由への渇望など、声にならない叫びを歌っている場合が多い。それは、上杉昇が実際にもがき苦しみながら音楽活動をしていたからに他ならないのだが、芸術家というのは追い詰められている時こそ名作を生み出すものだと痛感させられる。

 

 

収録アルバム

 

 

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WANDS 隠れた名曲2:白く染まれ 

「白く染まれ」も隠れた名曲として紹介される頻度が高い。曲構成やサウンドは当時のWANDSの王道ロジックである。クオリティ的にはシングルで発表されていても何らおかしくない出来栄え。しかし例によって、屈折した上杉の心情が綴られており歌詞は非常に暗い。

 

収録アルバム

 

 

WANDS 隠れた名曲3:Don`t Try So Hard

全編に渡るアコースティックギターが印象的なバラードナンバー。

アンニュイな世界観が秀逸で上杉が歌ってこそ成立する楽曲。

 

全体を支配するどんよりした空気感もそうだが、世界観が圧倒的であり、本来は映像がないはずの「曲」という存在にも関わらず、不思議と映像としての情報が頭に飛び込んでくる。筆者のイメージとしてはモノクロ映像なのだが、それがなんとも映画的というか。いぜれにせよ、派手さはないが何ともクセになる不思議な曲である。最低限の音で構成されており、上杉昇のボーカルの素晴らしさがたっぷり堪能できるのもポイントが高い。

 

 

収録アルバム

 

 

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WANDS 隠れた名曲4:Foolish OK

曲のしょっぱなから歌詞が暗い。ひたすら暗い。でもそれがいい。

荒々しく激しいギターをかき鳴らすAメロBメロから一転、極めてキャッチーなサビメロが開放的な盛り上がりを生んでいる。そのスパークする様がたまらない非常に気持ちの良い一曲。御託は抜きにして単純にカッコいい曲というのはこういう事だと思う。

 

 

歌詞の内容は10代の若者を対象にしているようだ。以下は2番に登場する歌詞なのだが

最上階の柵を越えて

自由をむさぼるには

まだ君は早い

自○をテーマとした楽曲だというのが伺える。

「負け犬でもいいじゃん!」という上杉の強烈なメッセージソングという側面もある。

アルバム7曲目という事で、地味な立ち位置だが、第二期WANDSの中でも指折りの名曲。 

 

 

収録アルバム

 

 

WANDS 隠れた名曲5:PIECE OF MY SOUL

リリースされた95年当時としては珍しく上杉昇が作曲に参加している。感情を抑えたAメロBメロを経てサビで大爆発するといったオルタナティブロックナンバー。楽曲からほとばしる上杉昇の魂の叫びが聴く者すべてを圧倒する屈指の名曲。

 

 

好きな歌詞の一節

 

すべては自分次第

幸せはどこにでもある

 

この歌詞には何度も救われた。

 

 

収録アルバム

 

 

WANDS 隠れた名曲6:孤独へのTARGET 

メタルバンド「FEEL SO BAD」等で活躍した川島だりあ作曲。サビから始まるインパクト抜群なナンバー。個人的には、このメロディを聴いて「良い曲」だと思わない人がいるのかってくらいの名曲。あまりにも好きすきて生涯で何回聴いたかわからないほどだ。

 

サウンドのクオリティはもちろん高いのだが、いわゆる往年のビーイング節全開で特に触れるべき箇所はない。それよりもメロディの良さを聴いてほしくてこの曲は選んだ。埋もれさせるにはもったいなさすぎると思う。上杉のボーカルも気持ちよさそうで◎

 

 

収録アルバム

 

 

WANDS 隠れた名曲7:FLOWER

アルバム「PIECE OF MY SOUL」の一曲目を飾る、メッセージ性の強いグランジオルタナティブロックナンバー。サウンドだけではく、それまでの上杉昇のイメージを完全に払拭したダークな歌詞も聴きどころである。激しい曲調なのだがメロディは相変わらずキャッチー。

 

ちなみにサビの歌詞を訳すと「俺は俺の魂と心を嫌悪する」といった内容。

 

当時の上杉昇がいかに荒んでいたかが伺える。徹底した自己嫌悪なスタイルに驚いたリスナーも多かったはずだ。

 

 

収録アルバム

 

 

 

 

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WANDS 隠れた名曲8:Little Bit…

柴崎浩作曲のバラードナンバー。この「Little Bit...」は神がかったメロディラインの素晴らしさから選ばざるをえなかった。

 

当ブログでは、様々なアーティストのおすすめ曲の記事を書いているが、バラードはあまり選ばない。理由は単純でシンプルな構成のバラードナンバーにあまり心が動かないからだ。

 

邦楽に関して云えば、もともと歌詞の善し悪しにそれほど執着していないし、クソダサい歌詞を聴かされるくらいなら全部英詞にしてくれと思っている人間なので、特にそういった傾向になりやすい。パワーバラード、ロックバラードになると、また話は違ってくるが、基本的には分かりやすくロックしている曲の方が琴線に触れやすいかもしれない。

 

特に、わかりやすく愛を歌ったバラードナンバーなどは、聴いていてこちらが恥ずかしくなるので普段からほとんど聴かないのである。そんな中で「Little Bit...」のメロディの良さを伝えたくて今回は選曲したという経緯がある。

 

この曲はミニアルバム「Little Bit...」に収録されているということで一応タイトルトラックである。にもかかわらず、その存在は極めて地味なのだ

 

他にアップテンポな曲が多いため、本来であれば目立たなければいけないポジションなのに、ものすごく地味になってしまったのでないだろうか。そのためか、WANDSの隠れた名曲として「Little Bit...」を紹介している媒体は少ない気がする。実際地味な曲なのだが、気に入った方はぜひカラオケでチャレンジしてみてほしい。サビが最高に気持ち良いです。

 

 

収録アルバム

 

 

WANDS 隠れた名曲9:FREEZE

上杉昇が好きだからといって、第二期の曲ばかり紹介するわけにもいかないので第三期の楽曲からも選んでみた。これは三期メンバーである杉元一生作詞作曲。聴いていただければわかると思うが、杉元一生という男は素晴らしいポップセンスの持ち主だ。

 

第三期WANDS原点回帰を掲げ、初期のサウンドを目指して楽曲制作をしていた。この「FREEZE」という曲も、往年のWANDSサウンドといわれれば納得できる雰囲気ではあるが、WANDS云々の前に、普遍的なカッコよさをもつ質の高いポップロックとして聴かれるべき名曲だと思う。メロディの良さが際立つのだが、随所に光るギターテクニックも良いアクセントになっていて曲にフックを与えている。

 

もともとシングル「今日、ナニカノハズミデ生きている」カップリングだったが、後にベスト盤「BEST OF WANDS HISTORYにも収録された。マニアックな曲ではあるがWANDSファンなら押さえておくべき名曲だろう。

 

 

収録アルバム

 

こちらが収録されていたシングル

 

 

WANDS 隠れた名曲10:Blind To My Heart

第二期WANDS後期の楽曲。ヘヴィなリフで幕を開ける、ミドルテンポのオルタナティブロックナンバー。随所で往年のハードロック的アプローチも聴ける。全体的にどっしりとした雰囲気を持った楽曲で非常に漢臭い。

 

第二期後期ではおなじみのハードな作風ではあるが、ステータスをハードに全振りしたかのような極めてヘヴィでラウドなサウンド3年3か月前に中山美穂とデュエットしていたバンドとは思えない重さがここにある。相変わらず歌詞も暗くて最高なのだが、上杉の内面を炙り出したリアルな言葉が並んでいる。

 

 

タイトルは「Blind To My Heart」

心を閉ざした男(上杉昇)の物語である。

 

歌詞が本当に痛々しいので、ポップなWANDSだけを聴いていたいリスナーには抵抗があるかもしれない。だが、WANDSはロックバンドである。上杉昇が魅せるロックの毒気にも触れてもらいたい。傷を負った者にしか表現できない凄味を感じられるはず。

 

 

曲とは関係ないことだが、今回シングル以外の隠れた名曲ということでおすすめを紹介している。にもかかわらず、実は「Blind To My Heart」はシングル曲である。なぜ紹介しているのかというと余りにも知名度が低いからだ。

 

上杉昇WANDS在籍時、最後にリリースした両A面シングルの2曲目である。

両A面なので「2曲目」という表現もおかしいのだが、各種媒体では「WORST CRIME」から紹介されることが多い気がする。というか、そもそも両A面だったと気付かれていないかもしれないし。こういった経緯から元々マニアックな曲なのだが、WANDSファンの中でも知名度が低いのにはもうひとつ理由がある。

 

往年のポップ路線を期待するファンは、ひとつ前にリリースした「Same Side」の時点で見切りをつけており、こちらの両A面シングル自体を手に取っていない。 

Secret Night -It's My Treat-(95.2.13) 631,350枚
Same Side(95.12.4) 234,020枚 
WORST CRIME/Blind To My Heart(96.2.26) 134,920枚 

出典:AtWiki

上記のように、売上げ枚数が大きく落ちていることからもそれは間違いない。

 

音源自体を手にする人間が少なかった。加えて、両A面である片割れ「WORST CRIME」の印象が強く、こちらは印象に残っていない。こういった理由から「Blind To My Heart」に光を当てるべく特別枠で選曲したという経緯です。

 

 

収録シングル

 

 

 

WANDSの 隠れた名曲が詰まったアルバム

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ここまでさまざまな楽曲を紹介してきたが、最後に隠れた名曲満載のアルバムを紹介したい。記事の途中でも何度か登場しているが「PIECE OF MY SOUL」である。

 

このアルバムはWANDSファンの中でも賛否が別れる作風で、ハードなサウンドのアレンジが目立つロックアルバムになっている。したがって、ポップなWANDSを好むリスナーからは否定的な意見もある。

 

当ブログはロックをメインコンテンツにしているため、迷わず「PIECE OF MY SOUL」を薦めたい。一生聴き続けられるといっても過言ではない名盤だ。

 

 

収録されている楽曲は、先述したようにハードなアレンジが多く、激しいロックサウンドで占められている。メンバーの木村真也はキーボード担当だが、ほとんどキーボードがいらないくらいギターの目立つロックなサウンド。それでいてメロディはどれもキャッチーで聴きやすいという、全体的なイメージとしてはJ-POPと呼んでも差し支えない作品かと思う。

 

おなじみの「世界が終るまでは・・・」や、アレンジはハードになっているが元々ポップソングだった「Jumpin' Jack Boy -album ver,-」も収録されている。

 

アルバム曲に関して云えば、わかりやすいラブソングのような曲はひとつもないし、共感を呼ぶ歌詞の表現も少ない。記事中で散々語っているように上杉の暗い歌詞が多くを占める。この辺りが賛否両論ポイントで、ポップなWANDS好きに進められない理由はここにある。要するに、相対的にポップではないという事。曲をそれぞれ抜き出せば、どれもキャッチーなメロディばかりで聴きやすいけれど、かといって純粋なポップスでもない。

 

それでも「PIECE OF MY SOUL」には「隠れた名曲」と呼べる物が多数収録されている。WANDSのことを生ぬるいラブソングを歌うポップスユニットだと思っているリスナーにこそ聴いてもらいたい。

 

収録曲のうち、シングル以外はすべてメンバーの作曲というのも大きなポイント(元々歌詞はすべて上杉昇が担当している)。WANDSが持つロックのポテンシャルを感じてもらえると思う。

 

 

ロックが内包するものは、わかりやすい攻撃的な側面だけではない。

「PIECE OF MY SOUL」にはロックの繊細さ儚さも表現されている。

 

何度も書いているが歌詞の内容は暗いし、共感しにくい部分もあるかもしれないが、ロックの二面性だと思って楽しんでもらえたら幸いである。 

 

 

「PIECE OF MY SOUL」以降のWANDSは、「上杉昇」作曲による、当時のヒットチャートでは珍しかったハードなグランジナンバーをリリースする。

 

そういった意味で「PIECE OF MY SOUL」というアルバムは重要な位置づけの作品ではないだろうか。後に上杉は、自分のロックという物をある程度確立するのだが、この作品に携わった経験は上杉の音楽性を形成するために必要なものだったと思う。

 

 

2020年には第五期のアルバムもリリースされ、WANDSが過去にリリースした作品というのは、良く言えば「懐メロ」悪く言えば「古臭い」といったイメージで捉えられているかもしれない。実際1stアルバムである「WANDS」という作品を今聴いてみると、個人的な感覚ではカッコいいのだが、冷静に判断すると古いしダサい。現代の中高生が聴けば逆に新しいのかもしれないが、それってつまり、時代の変化で評価が変わってしまっている。普遍的とはいえないもの。もちろん普遍的なものが最も優れているわけではないけれど。

 

「PIECE OF MY SOUL」からは古臭さが感じられないどころか、1995年リリースということが信じられないくらい、時流とは無縁の普遍的なロックサウンドが鳴っている。好みの問題じゃないのかと自問してみたが、そこは自らの感性を信じることにした。

 

このように、私としては「PIECE OF MY SOUL」が普遍的な魅力に溢れた作品だと思っているので、今聴かなくてもいいと思う。たとえ10年後に聴いたとしても今日聴いたものと同じ感想になるはず。だからいつか聴いてくれたらいい。

 

現在も多くのWANDSファンに愛される「PIECE OF MY SOUL」。このアルバムは邦楽ロックの歴史に燦然と輝く名盤だと勝手に思っているが、そんな作品をぜひあなたの耳で確かめてみてほしい。

 

それではまた。

 

 

 

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