【10分以上】演奏時間が長い曲5選【邦楽編】カラオケで歌うの禁止な!
J-POPやロックをはじめとする邦楽曲の再生時間はほとんどが5分前後である。
バラードナンバーでも極端に長い物は存在しない。
その理由は諸説あるので今回は割愛するが、世の中に無数に存在する曲の中には、異常なほど長い再生時間を持つ楽曲もあるのだ。
今回はそういった「長い曲」の中から「邦楽」「10分以上」という条件に絞って紹介していこうと思う。
10分以上の長い曲 【邦楽編】
X-JAPAN「ART OF LIFE」(28分59秒)
筆者の中で10分以上の曲といえばまずはこれが頭に浮かぶ。
YOSHIKIの半生をモチーフとし、X-JAPANの持つ音楽性をすべて詰め込んだ、濃厚な音楽体験ができる珠玉のロックナンバー。
1993年リリースされた「ART OF LIFE」収録曲。
正真正銘一曲が30分近くあり、たった一曲の収録ながら、長すぎる演奏時間のためか一応ミニアルバムという名目である。
当初はアルバム「Jealousy」と二枚組としてリリースされる予定だったそうだ。
しかし「Jealousy」の締め切り前倒しなど諸事情が重なり、最終的に「ART OF LIFE」の収録は見送られた。後に上述したようにミニアルバムとしてリリースされている。
初動売上で30万枚以上、最終的な累計売上は60万枚を超えるヒットを記録したが、知名度は意外にも低い。
Xの好きな曲を訊かれて「ART OF LIFE」と答えられる人間ならば少なくともにわかファンではないだろう。
冒頭にも既述したが、X-JAPANの持つ音楽性が全て凝縮されている楽曲で、クオリティの高い「メタル」と「クラシック」の両方が一度に楽しめる。
X-JAPANといえば、一曲の中に両者を取り入れることは珍しくないが、「ART OF LIFE」はきっちりブロックごとに分けて演奏している。
スラッシーな疾走パート、バラードパート、ピアノパートというようにしっかりとサウンドが分けられている。
そのため、パートごとでトラックに区切り、別々の曲として発表する案も出ていたそうだ。
楽曲の完成度はとてつもなく高いのだが、30分通して聴くと疲れてしまうというのが正直な所だろう。
そんな人のためかどうかわからないが、4分51秒のダイジェスト版ともいえる「ART OF LIFE ~radio edit~」という短いバージョンも存在する。
こちらのヴァージョンでは、ファンの間でも賛否両論な、長すぎるピアノソロが存在しないため、本家と比較すると非常に聴きやすくなっている。
桑田佳祐「声に出して歌いたい日本文学」(18分45秒)
2012年リリースのシングル「君にサヨナラを」のカップリングとして収録。
のちに三枚目のベストアルバム「I LOVE YOU -now & forever-」にも収録された。
桑田佳祐の音楽における変態性が炸裂した、過去に例を見ない極めて独創的な作風。
上記10作品中から桑田佳祐が文章を抜粋しメロディをつけた楽曲である。
はっきり言って凡人の考えが及ばないアイデアだ。
分かってはいたけれど、この曲を聴いたとき桑田はやはり天才だと思った。
曲としてはかなりの長さであるが、サウンドにもこだわりがあり、いわゆる「メドレー形式」になっている。
作品ごとで演奏や楽曲のタイプが異なるため、最後まで飽きずに楽しめるのは流石といったところ。
それぞれの作品はだいたい2分前後と短い曲なのだが、一曲ごとの完成度が極めて高い。濃密な桑田作品のダイジェストを聴いているようなお得な気分になれるはず。
ちなみに桑田佳祐自身は、楽曲に使用した文学作品をほとんど読んだことがないらしい。作家の顔写真だけを見てインスピレーションで選んだ作品もあったそうだ。
GLAY「SAY YOUR DREAM」(12分59秒)
2009年リリースされた40枚目のシングル「SAY YOUR DREAM」表題曲で、バンド活動15年の軌跡を描いた超大作。
GLAYのシングル表題曲としては最も演奏時間が長い。
ドラマ仕立てのMVも見ごたえ抜群である。ぜひ最後までご覧ください。
ほぼ別の曲を融合させたと言われても納得できてしまうほど、前半と後半でガラッと印象の変わる2部構成になっている。
だが最後まで聴き終えると、根幹では世界観がしっかり繋がっているのが感じられる完成度の高い曲。
作詞作曲を担当したTAKURO曰く、完成までに8年を要したそうだ。
正直GLAYファン以外には馴染みのない曲だと思うが、ロック好きは聴いておくべき名曲であるのは間違いない。
川本真琴「FRAGILE」(10分53秒)
2000年リリースのシングル「FRAGILE」表題曲。
映像も存在せず配信もされていなかったため読者の方に聴かせられないのが非常に残念。
磯野栄太郎なる人物の提供曲だが、実は岡村靖幸の別名である。
ストリングス・アレンジを担当したデヴィッド・キャンベルは、なんとあのベックの父親。
1996年のデビュー曲「愛の才能」から数えて、実に4年ぶりとなる岡村靖幸とのコラボ楽曲。
10分53秒という長尺だが、後半のおよそ5分は歌詞が存在しないゴスペルのような曲。
一聴すると掴みどころがなく難しい楽曲に感じる。
何かを掴もうと聴き込んでみてもやはりよく分からなかった。
でもこの不思議な感覚がクセになる。
「FRAGILE」が収録された2ndアルバム「gobbledygook」は、1stアルバムに比べ難解な音楽性だ。
本当に分かりにくい作品だけれど、川本真琴の人並み外れた才能は感じることが出来るし、彼女の天才性から生まれた音にいつまでも身を委ねていたくなる。
電気グルーヴ「虹」(10分53秒)
1994年リリースされたアルバム「DRAGON」収録。のちにシングルカットされた。
ゲストボーカル五島良子とのデュエット曲。
10分53秒というのはアルバム収録時の物で、シングルでは「Short Cut Mix」ということで4分55秒になっている。
虹という楽曲は電気グルーヴのファンはもちろんのこと、アニメファンにもおなじみかもしれない。
2006年放送の人気アニメ「交響詩篇エウレカセブン」第50話に挿入歌として起用されていた。
エウレカセブンで使用されたものは、アルバム「DRAGON」に収録されていたオリジナルバージョンで、アニメのサントラにも収録されている。
電気グルーヴの曲は、バカバカしい内容の物から、同じ人間が作ったとは思えないシリアスなものまで幅が広いのだが、虹はシリアス方面の曲である。
多くの楽曲に共通するキャッチーなメロディは虹でも健在で、延々とループするテクノサウンドと相まって高揚感が煽られる作風だ。
まとめ
というわけで、数ある邦楽の中から、"10分以上"という縛りを設け長い曲を紹介してきた。
あらためて調べてみると、シングルではそこまで数はないのだが、アルバム曲には結構な数存在することがわかって筆者自身楽しんで執筆することができた。どれくらい存在するのかわからないが、機会があれば短めの曲も今度まとめてみたい。
それではまた。
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