メタラーからはメロデスの愛称で親しまれている人気ジャンルであり、日本人のファンも多い。ジャンルとしては1990年代初頭に登場し、メタルコアの音楽性に影響を与えるなど、メタルシーンに残した功績は大きいと言える。
メロディックデスメタルの成り立ちは諸説あり有名なのがこの二つ
北欧メタルに代表されるメロディアスなメタルミュージックにデスメタルの歌唱法を取り入れたもの
デスメタルにNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)のメロディを取り入れ、叙情的な要素を取り入れたもの
どちらも着地点はそれほど変わらない。
ジャンル名のままだが、デスメタルにメロディアスな要素が加わったと考えてもらえばいい。
近年ではメロデスの音楽的な境界線が曖昧であり、正統派ヘヴィメタルやメロディックブラックメタルとの違いも分かりにくくなっている。そんな状況もあり、当稿では比較的判別しやすい"正統派"メロデスバンドを選んだつもりなので参考にしてみてほしい。
メロディックデスメタルのおすすめバンド
SOILWORK(ソイルワーク)
スウェーデン出身。
1995年「インフェリアー・ブリード (INFERIOR BREED)」というバンド名で活動を開始し、1997年に現在の「SOILWORK」へ改名。
初期はメロディアスの欠片もないデスラッシュバンドだったが、徐々にメロデスへと音楽性を変化させ、2002年リリースのアルバム「Natural Born Chaos」でSOILWORK流メロディックデスメタルを完成させた。従来にない、クリーンボーカルを大胆に取り入れた楽曲はメタルコアへ多大な影響を与えたと言われている。
(初期を除き)とにかく聴きやすいので、邦楽ラウドロックが好きなリスナーにも自信を持ってお勧めできる。
余談ではあるが、ビョーン・ストリッド(Vo)の元妻は日本人怪談作家の宍戸レイである。
近年の作品は純粋なメロデスではなくなってしまったので筆者はほとんど聴いていない。影響を与えていたはずのメタルコアに接近していたり、ジャンルレスにメタルミュージックを追求している。サウンド自体は一般化したため間口は広くなったが、メロデスを求める古参としてははっきり言ってつまらない。
だが、それは「メロデスバンド」としてのSOILWORKの評価である。
メタルミュージックを演奏するバンドと考えればとてつもなくクオリティは高い。
ちなみにSOILWORKは、筆者が本格的にメロデスにハマるきっかけとなったバンドである。
Disarmonia Mundi(ディサルモニア・ムンディ)
1999年イタリアで結成。
先程紹介した「SOILWORK」のビョーン・ストリッドがボーカルで参加していた。
世界中にメロデスバンドが何組存在するか分からないが、筆者の中では三本の指に入るほど音に惚れ込んでいる。
バンドの中心メンバーである「エットレ・リゴッティ」はギター/ベース/ドラム/キーボードに加えクリーンボーカルまで担当するマルチプレイヤーで、レコーディングもほとんどの作業を一人でこなしてしまう天才肌。
結成当初は通常のバンド編成だったが、現在はエットレ・リゴッティとクラウディオ・ラヴィナール(Vo)の二人体制。ライブは行わず、その活動はスタジオワークのみである。
一般的には2006年リリースの「Mind Tricks」の評価が非常に高い。筆者ももちろん好きなアルバムなのだが、個人的には2015年リリースの「Cold Inferno」がおすすめ。
メタラーの間で話題となった「となりのトトロ」カバー(ジブリ公認)も聴きごたえ抜群である。
At the Gates(アット・ザ・ゲイツ)
1990年スウェーデンで結成。
1990年初頭からメロディックデスメタルというジャンルの形成に大きく関わったメロデス界の重鎮バンド。デスメタルの凶暴さに叙情的なメロディを加えた1995年リリースの4thアルバム「Slaughter of the Soul」は極めて評価が高い。このアルバムで、メロディックデスメタルをひとつのジャンルとして定着させた功績者である。
誰もが思い描く「メロデス」を、わかりやすく体現しているので初心者に特におすすめである。スラッシュ要素が強めであり、筆者のようなスラッシュメタル好きも楽しめるサウンド。
Children Of Bodom(チルドレン・オブ・ボドム)
1993年フィンランドで結成。
日本人好みの泣きのギターフレーズとキーボードのカラフルな音色が特徴。
「チルボド」の愛称で親しまれている。
メンバー脱退やバンド名使用権などゴタゴタが重なり、2020年3月「Bodom After Midnight(ボドム・アフター・ミッドナイト)」というバンドを新たに結成。
正式に解散の発表は為されていないものの、上記の「Bodom After Midnight」結成報道の際に、Children Of Bodomの活動終了プロセスは予定通りに進んだと述べられた。このことから、新バンド結成をもって、Children Of Bodomの活動は全て終了したと考えられている。
ARCH ENEMY(アーチ・エネミー)
1996年スウェーデンで結成。
アーチエネミーも日本での知名度は高く、メロデスを知ったら一度は通る道である。
数あるメロデスバンドの中でも、特にギターの奏でるメロディに定評がある。
CARNEGEのマイケル・アモットが、同バンド解散後、在籍していたCARCASS脱退後に立ち上げたメロデスバンド。CARCASSの確立したメロディックデスメタルのノウハウに、スウェディッシュスタイルを取り入れ、同ジャンルの代表的バンドとなった。
女性ボーカル路線のヒットに目を付けたマイケル・アモットが、初代ボーカルのヨハン・リーヴァを解雇し、新たにアンジェラ・ゴソウという女性ボーカリストを迎え入れる。これが大当たりし世界的なブレイクに繋がり知名度を大きく伸ばした。
2014年アンジェラ・ゴソウがボーカル引退を発表。後任には、元The Agonistのアリッサ・ホワイト=グラズを迎えている。
THOUSAND EYES(サウザンド・アイズ)
2011年結成。
我らが邦楽メロデスバンド。
正統派パワーメタルバンドLIGHTNINGのKOUTA(Gt)を中心に、AFTERZEROのDOUGEN(Vo)、VOLCANO/YOUTHQUAKEのAKIRA(B)と、知っている人はニヤリとするジャパニーズメタルシーンのいわばドリームチーム。
メンツをみれば演奏スキルが高いことは解説するまでもないが、アグレッシブなリフワーク、哀愁たっぷりのギターフレーズなど、ツボを押さえた楽曲は、日本で数少ない正統派メロデスバンドといえる。
2018年リリースの3rdアルバム「DAY OF SALVATION」の評価が非常に高く、この作品で大きく化けたともっぱらの噂だ。
「日本のメタルなんてクソだろ」と色眼鏡で見ているあなたにこそ聴いてもらいたい、クオリティの高いメロデスバンドである。
まとめ
誰が聴いても「メロデス」だと判断しやすい、比較的わかりやすいバンドを集めてみたがいかがだっただろう。
随時ラインナップは増やしていくつもりなので、お手すきの際はまたのぞいてみてほしい。
それではまた。
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