THE MAD CAPSULE MARKETS(ザ・マッド・カプセル・マーケッツ)
日本のミクスチャー/ラウドロックの先駆者的存在であり、後続のバンドたちに今もなお影響を与え続ける伝説のロックバンドである。
今回はマッドカプセルマーケッツの解散についての話題。
尤も、公式発表では解散ではなく活動休止とされている。
しかし、ソースは忘れてしまったが過去のインタビューで「解散というより消滅」といった旨のコメントをしていることから、事実上は解散と捉えて間違いないだろう。
したがって、当稿では「マッドカプセルマーケッツは解散した」として話を進めていきたい。
仮に活動休止だったとしても、長きにわたりマッドとしては活動をしていないことになるが、ファンの間では現在も再結成が望まれている。
その可能性はどの程度残されているのか。
個人的に、マッドの再結成はないと思っている。
彼らの解散に至ったエピソードを紹介すると共に筆者の考えを述べていきたい。
マッドカプセルマーケッツ 解散までの経緯
パンクバンドとしてキャリアをスタートさせたマッドカプセルマーケッツ。
その後さまざまな音楽性を取り込むことで唯一無二のサウンドを確立。
あれよあれよという間に、日本を代表するロックバンドになっていた。
その勢いは日本だけに留まらなかった。
海外でのCDリリース、「OZZ FEST」「Download Festival」など、大型フェスへの出演。これら積極的な海外進出が功を奏し、欧米では一定の知名度を獲得する。
マッドのサウンド、スタンスは、現在隆盛を極める「ラウドロック」の礎を築いたといっても過言ではない。
順風満帆だった2005年、ソニー・ミュージック・レコーズに移籍するもリリースは行われなかった。
その後表立った活動がないまま、2006年4月活動休止を発表。
活動休止の理由だが、表向きの答えはすでに出ている。
内容は元メンバーの上田剛士(b)が語っているのでインタビュー記事を引用したい。
――ちょっと流れ的なところからお聞きしたいのですが、マッドの活動休止というのはどういう理由があったんでしょうか?
上田剛士 :いきなりですね(笑)。それぞれの方向性が変わってきたことがいちばんですね。もちろんほかにもいろんな原因はありますが、同じ方向を見ていられなくなったというか。簡単に言うと、そういうことになりますね。
――なかなか言葉にしにくい部分だと思いますが。
上田 :うん。16年ぐらいの歴史があるから、もちろん個人個人いろんな思いがあるので、そういう流れだったのかなと。
――僕もライターの前にいちファンであり、ショックだったもので。
上田 :お客さんや応援してくれた人には、申し訳ないなという気持ちはありますね。ただ、ウソをつくわけにはいかないというか。音楽やマッドに対しても……そういう状態でやってしまうことは、もうウソをつくような気がしてしまって。とりあえず、休止しようと。
上記を読めば一目瞭然だが、ひとことで言ってしまえば「方向性の違い」ということになる。
なんとも月並みで当たり障りのない答えだ。
だが、本当の解散理由は「方向性の違い」などではない。
マッドカプセルマーケッツ 解散理由、原因
では実際に、何が原因でマッドカプセルマーケッツは解散してしまったのか。
結論から書いてしまうが、要するにメンバー間の軋轢である。
音楽性や活動方針等のいわゆる「方向性の違い」ではなく、メンバー同士の仲が悪くなってしまったのだ。
ソースは、AA=(上田剛士のソロプロジェクト)がリリースした
『(re:Rec) -SPECIAL BOX「OIO」』
そのボックスに同梱されていた「動物農場」という小説のあとがきに記されている。
そのまま内容をお伝えするわけにもいかないため概要だけ。
- メンバーが故意に大きな過ちを犯した
- その過ちを正さなかったため、結果として活動休止(解散)を選んだ
では、過ちを犯したメンバーとは誰なのか?
この事実を、上田剛士があとがきに記しているという事は、残った二人のうちどちらかだ。もしくはその両方か。
某掲示板などではさまざまな憶測を呼んでおり、KYONO、MOTOKATSU(宮上元克)どちらにも解散の原因があるとされている。
マッドに近しい立場だと自称する人物の書き込みもあった。
とはいえ、匿名掲示板の情報を鵜呑みにするわけにはいかないため、はっきりと断定することは出来ない。
だが仮に、掲示板での発言を信じるならば、あまりにも傍若無人で、人間としてあるまじき行いを重ねていた事になる。
結局どこまでいっても「過ち」の内容は憶測でしかないのだが、KYONO、MOTOKATSUがマッド解散の原因であると思えてしまう根拠が存在する。
KYONO、MOTOKATSUはSNSで交流している様子が確認でき、互いのライブに足を運んでいる。しかし、上田剛士は両者ともいっさい交わることがない。
仮にメンバー間の軋轢がなければ、AA=のライブに一度くらい足を運ぶことができるはずだ。
この事実はメンバー間の溝を如実に表しているのではないだろか。
マッドカプセルマーケッツ 再結成の可能性
「マッドの再結成はない」と書いた意味がおわかりいただけただろう。
現状の関係性ではバンドはおろか、ひとりの人間として付き合うことも難しいはずだ。
上田剛士は活動休止時のコメントにて
「MADの曲を作る気持ちになれなくなった」
と語っている。
それは、メンバーを信頼できなくなったことが一番の理由なのは間違いない。
また、今後はマッドカプセルマーケッツとは関わりたくないという気持ちの表れでもあっただろう。
だからこそ、意識的にマッドと差別化したAA=独自のサウンドを追及しているのだ。
しかし、近年の上田剛士は、AA=にて「THE MAD CAPSULE MARKETS」を彷彿とさせる作品を発表することが幾分増えているように思う。
特に2015年リリースの『M SPECIES』は多くのファンが驚いたに違いない。
タイトルを直訳すれば「Mの種」。
「M」とはもちろん「MAD」の"M"である。
マッドとの決別
以下の記事では『M SPECIES』を「Mの遺伝子」と捉え、インタビューに答えている。
AA=×Kj (Dragon Ash)対談! 受け継がれる「M」の遺伝子とは(2015/12/18)邦楽フィーチャー|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)
AA=として「マッドカプセルマーケッツ」的なサウンドを表現する。
しかも、ボーカルを務めるのは、マッドを敬愛するkj(降谷建志)。
KYONO以外でマッドを表現できる数少ない人物であり打ってつけの存在だ。
それはつまり、これまで封印していたマッドサウンドの解放である。
と、同時に「マッドカプセルマーケッツ」というバンドとの決別にも感じられた。
マッドでなくともマッドの音は表現できる
彼はそう言っているような気がしてならない。
つまり、上田剛士の中でマッドは完全に消滅してしまったのではないだろうか。
尤も、筆者の憶測など、いちファンの戯言に過ぎない。
上田剛士の真意はどこにあるのか本人以外が答えられる筈もない。
しかし、何かしらマッドへの想いにけじめをつけたはずだ。
それが、ファンにとって良い方向であってくれればいいが、現状では窺い知ることはできない。
マッドが再結成するには、メンバー間の和解が最も重要なファクターになるだろう。
しかし、SNSでの動きや個々の活動を見る限りそれは望むべくもない。やはりマッドの再結成は夢物語なのだろうか。
だが、世の中何が起こっても不思議ではない。
あれだけ不可能だと思われていたHi-STANDARDが再始動した。
マッドカプセルマーケッツだって未来はどうなるか分からない。その日を粛々と待つことにしよう。
それではまた。
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