香水(瑛人) 人気が出た2つの理由。現代人のニーズが生んだヒットの要因とは?
NHK紅白歌合戦にも出場し、今や国民的歌手となったシンガーソングライターの瑛人。
当稿では、ブレイクのきっかけとなった「香水」の人気が、なぜここまで爆発的に広がったのか、わかりやすく解説していきたい。
正直、瑛人(香水) がヒットした理由なんて今更かもしれないけれど、紅白で彼の歌を初めてしっかり聴いたという方もいると思う。先日もおしゃれイズムに出演していたし、今後ますますお茶の間へ進出してくる可能性もある。これから瑛人を知る人のためにも、改めてまとめていこうと思う。
TikTokでの爆発的な広がり
「香水」は2019年4月21日リリースされた楽曲であるが、実は発売から一年間、鳴かず飛ばずの状態だった。
そんな中、2020年4月を皮切りに、Apple Music、Spotify、LINE MUSICなど主要な音楽サブスクにて再生回数が増えチャートを駆け上がっていく。このほか、5月25日付のBillboard JAPAN 総合ソングチャート「JAPAN HOT 100」では、当時並び立つものがいなかったOfficial髭男dismをおさえ1位となる。
こうした音楽チャートの上昇とともに、グーグルトレンドでの検索数も右肩上がりに上昇していった。
突然のブレイクともいえるこの現象には、TikTokがからんでいる。
チャートや検索数が上昇し始めた4月初旬、「香水」をカバーした"歌ってみた動画"や、TikTokにて投稿するユーザーが増え始めた。この状態に拍車をかけたのが、4月23日のとある人物による弾き語り動画。
その人物とは、 FANTASTICS from EXILE TRIBEの中島颯太。
彼による「香水」の弾き語りカバー動画が一つのきっかけとなる。この動画のおかげで「香水」の名はさらに広まり、YouTubeをはじめ、主要なSNSでカバーやダンス動画が大量に投稿されることになる。
尤も、中島颯太のカバー動画が投稿される前から、TikTokでは、流行に敏感なユーザーによって「香水」の名はすでにプチブレイクのような形にはなっていた。だから、中島颯太という"きっかけ"がなくとも、自然の流れで大きくブレイクしていた可能性もあるが、それは結果論でしかないので誰にもわからないだろう。
いずれにせよ、「TikTok」はツイッター同様、情報を気軽に拡散/共有させることができる。さらに「音楽」に合わせダンスし、それを気軽に発信できるという文化を、広く浸透させたわけで、TikTokは「音楽」という存在が重要なファクターを占める。
承認欲求が強めの現代人は、自身が「良い!」と思った情報を他人へ拡散し、共有したがっている。それを簡単に実現したのがSNSの存在だ。
音楽が重要なファクターである「TikTok」に当てはめれば、情報を拡散することは、すなわち「音楽」が不特定多数に拡散され、同時に共有されることになる。この現象は、音楽業界にとってみれば、現時点で最強の「口コミ効果」といっても過言ではないだろう。
このように「香水」の爆発的な広がりは、「TikTok」を起点とする現代人のニーズが呼び寄せたといえるかもしれない。
つまり、「香水」の人気は、現代人のニーズに合わせ台頭してきた「TikTok」、それに図らずしも便乗してしまった「香水(瑛人)」という構図ではないだろうか。
瑛人と同じく、NHK紅白歌合戦に出場し話題となった「YOASOBI」も、TikTokから火が付いたなんて言われている部分もある。TikTokをきっかけにヒットするといった流れは今後もしばらく続いていくかもしれない。
「香水」の楽曲の良さ
「香水」の人気が爆発した理由。
「TikTok」以外の理由として、単純な楽曲の良さも見逃すわけにはいかない。
瑛人は好きなアーティストとして清水翔太の名前を挙げている。
じっくり比較するまでもなく「香水」からは清水翔太の影響が感じられるだろう。穏やかなサウンドと穏やかなメロディ。実に日本人好みの音楽性だ。
こう表現してはなんだが、「香水」は当たり障りのない雰囲気を持った楽曲である。しかし、J-POPを好む層というのは、そこまで刺激的な物は求めていない。日々の生活の中にあっても異物感のない、生活のBGMになりうる「当たり障りのない楽曲」を欲しているのだ。
上記のような、ざっくりとした楽曲のイメージだけ捉えてみても、ヒットするポテンシャルを秘めていることがわかる。
その上で「香水」には最大のセールスポイントがある。
君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ
この強烈なサビのインパクトだ。
メロディと歌詞のダブルインパクトで一度聴いたら忘れられない印象を残す。
このフレーズが、どれほどリスナーへ衝撃を与えたかといえば、「香水」の歌詞のおかげで、ドルチェ&ガッバーナの香水が売れるという、何とも日本人らしいエピソードからも明らかだろう。それほどまで「香水」という楽曲に、人々が魅了されてしまったのだ。
楽曲全体の歌詞にも注目してみよう。
簡単にいえば、別れた元カノに対する気持ちを歌った切ない歌詞の世界。現代風にいえば「エモい」と表現できるかもしれない。
いずれにせよ、J-POP好きにはたまらない世界観だ。とりわけ「恋愛」に関する歌詞は、日本人が最も好むテーマの一つであり、それゆえ共感を呼びやすくなる。いつの時代も「共感」がヒットするための大きなキーポイントとなる日本の音楽シーンでは、「香水」の歌詞世界は十分すぎる破壊力なのだ。
香水(瑛人) 人気が出た2つの理由 まとめ
「TikTok」と「ヒットのポテンシャルを秘めた楽曲」。
この2つが「香水」のヒットした要因である。
当ブログ以外にも考察しているサイトは沢山あり、みな表現は違えど、概ねこの辺りの理由に落ち着いているはず。
「香水」のヒットはある意味自然の流れといえる。
売れる可能性の高い楽曲を、多くのリスナーへ届けただけに過ぎない。
『良い曲が売れる』
そんな当たり前が、当たり前ではなくなった現在の音楽業界。事務所の過剰なプッシュのおかげでブレイクしているように見えるだけのアーティストも多い。
「TikTok」の力を借りたとはいえ、アーティストとリスナーのみという関係性で実現した「香水」の大ヒット。この好例が今後も続いてくれることを願う。
それではまた。
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