【邦楽編】2020年上半期ヘビロテしたマイベストソング10曲
2020年上半期に、筆者がヘビロテしまくった大好きな曲を紹介する企画である。
洋楽編は先日アップしたので、今回は邦楽編ということになるのだが、筆者はとてつもなく流行りに疎いので、(奇跡的に流行歌が混ざることもあるが)ラインナップは基本的に我が道を征く感じになってます。
洋楽編はこちら
2020年上半期マイベストソング「邦楽編」
ACIDMAN「新世界」
22枚目のシングルであり、2013年リリースのアルバム「新世界」に収録されたタイトルトラック。もとも大好きな曲なのだが、何年かに一度やってくる「ACIDMANブーム」により今回めでたく選出。
新世界という曲は、リアルタイムで音源を入手したので、もう何百回(何千回?)聴いているか分からない。家でも聴くし車でも聴くんだけど、未だに飽きずに聴き続けられる、誰が何と言おうが私の中では問答無用のキラーチューンである。
なんともACIDMAN的な、いわゆる”静と動”を巧みに操る、彼ららしい王道の曲構成だ。
激情ギターと穏やかなアルペジオ、咆哮する大木伸夫のボーカリゼイション、壮大過ぎる歌詞の世界、すべてが混然一体となって私の耳を直撃する。ACIDMANブームはしばらく終わりそうにない。
ROTTENGRAFFTY「ハレルヤ」
2019年12月リリースのシングルナンバー。
ロットングラフティーは新譜が発売されるたびに必ずチェックする、私の人生の中で、五本の指に入るお気に入り邦楽バンドである。巷ではロットンの曲はパクリだ何だと言われているが、個人的にはカッコよければ別に構わない。
ハレルヤのサウンドだが、2018年リリースのアルバム「PLAY」の延長線上ともいえる、最新型のロットンが楽しめる。ラウドなリフは相変わらずキレがあって素晴らしく、そこへ絡みつくシンセサイザーのサウンドが楽曲全体に彩りを加えている。その他にも様々な音楽要素を取り込み、ロットンにしか鳴らせないオリジナリティがさらに高みに達している。キャッチーなメロディセンスもロットンの大きな武器だが、その才能は今作でも如何なく発揮されている。
あまり言及している人がいないけれど、この曲って「金色グラフティー」に雰囲気似てませんかね??批難しているのではなく、代表曲に寄せてきたってことは、それだけ気合が入っていたんだなと。
seven oops(旧:7!!)「スタートライン」
2004年結成のポップロックバンド。
こういった曲は私のブログでは珍しい選曲だが、CSで放送されていた「金田一少年の事件簿R」の影響である。この曲はエンディングテーマとして、(当たり前だけど)毎回流れるのだが、そのせいでメロディが頭から離れなくなった。
正直「seven oops」は、どんなバンドかも判っていない"にわか"以下のリスナーだが、タイアップされていた数曲聴いた限りでは、メロディの良さが群を抜いているように感じた。さらに調べてみると、どうやらあまり売れていないようだ。これだけ良い曲を書いても売れないんだなと、音楽業界の哀しさを改めて思い知る結果となった。
wrong city「Dark Is Out」
2012年に結成されたポストハードコアバンド。2018年解散。
今をときめく
「CRYSTAL LAKE」
「NOISEMAKER」
「Survive Said The Prophet」
とスプリット盤『REDLINE RIOT!!』をリリースするなど、一時は話題になったバンドだが、wrong cityだけ取り残される形となり、最終的に解散してしまう。
サウンド的には類似バンドに比べ、ギターのフレーズが細かくて差別化出来ていたし、メロディもキャッチーで覚えやすい物が多かったのにどうしてウケなかったんだろう。
ちなみにこのMVには、アッと驚くキャラが登場する。
1:35~から登場するので、ぜひMVで確認してほしい。
小林太郎「ドラゴンキリング」
2009年から活動しているシンガーソングライター。
「グランブルーファンタジー」や「仮面ライダーアマゾンズ」のタイアップで、多少知名度は上がったが、それはアニメや特撮ファンの知名度であって、邦楽ロックファンの多くは名前さえ知らない。もちろんこの曲もさっぱり売れていない。そんな小林太郎だが、筆者はデビュー当時から応援し続けている。
音楽性はハードロックを主体に、グランジ、ガレージの混ざったようなサウンドで、曲によってはメタリックなリフも用いる。全体的に漢らしく古臭い雰囲気が漂うので、邦ロック初心者には向かないかも。特筆すべきは莫迦みたいな歌の上手さ。小林太郎は2020年で30歳なのだが、この世代の邦ロックアーティストでここまで歌える人は、数えるほどしか知らない。
本作でも小林太郎らしさは健在で、分厚い轟音ギターに酔いしれることが出来る。特筆すべきはメロディの良さ。これまでの全楽曲と比較してもかなり上位に位置するほどの出来。
IT企業とのコラボ楽曲という事で、歌詞の内容はエンジニアについて歌ったものである。システムの困難なバグを「ドラゴン」に例え、曲の主人公(エンジニア)はヒーローのようにドラゴンを退治していくという物語性に富んだ、どこかユニークな歌詞の世界も聴きどころ。
Sable Hills「Embers」
2015年に結成されたメタルコアバン。
以前どこかの記事で触れたかもしれないが、実はデビュー当時から追いかけている、お気に入りバンドである。
「Sable Hills」を推す一番の理由は楽曲のメロデスっぽさ。
メタルコアというジャンルは、もともとメロディックデスメタルの音楽性にインスパイアされている部分があるのだが、邦楽メタルコアバンドの多くは、メロデスの要素が感じられない。すでに出来上がっている、既存の「メタルコア」という"音楽性"をただ模倣しているバンドばかりで、ルーツが見えないから底の浅い音楽に聴こえてしまう。ようするに「こうすればメタルコアなんでしょ」というのが透けて見えるので、聴いていて萎えてしまうのだ。
一方「Sable Hills」は自分たちの音楽的ルーツを、これでもかと楽曲に落とし込んでいる。そのルーツは、ごく原始的なヘヴィメタルからモダンなメタルコアまで網羅しているので、当然メロデスも通過しているのだが、それが見事に楽曲で表現されていて聴いていてワクワクする。スクリームに絡みついてくる、叙情的なギターフレーズなんてメロデスそのものだし、「これぞメタルコア」と言えるブレイクダウンもしっかりキメてくる。全体的には今っぽいサウンドではないかもしれないが、私にとっては最高のバンド。もっと売れろ。
KNOCK OUT MONKEY「Black or White」
2001年に結成されたミクスチャーバンド。
2018年リリースのアルバム「BACK TO THE MIXTURE」 収録曲で、アルバムタイトルにあるようにミクスチャーの原点回帰を目指した曲構成が特徴。メンバーの見てきた、90年代後半から2000年代初頭を彷彿させる、ミクスチャーのフォーマットを踏襲しながらも、彼らのオリジナリティあふれるアプローチもふんだんに盛り込まれている。
ジミー・ペイジやスラッシュを敬愛するdEnkA(ギター)は、見かけによらず繊細なギタープレイが信条なのだが、本作の間奏でもオールドなフレーズで、ラウド一辺倒なサウンドに緩急をつけていて非常にクール。いつものノクモンらしさは失われていないということで、いい意味での暑苦しさも健在。
KNOCK OUT MONKEYは、いまいち波に乗れていないバンドだが、同業者からの評判は意外と良い。「BACK TO THE MIXTURE」リリース時に様々なバンドメンバーからメッセージが送られていたが錚々たる面子だった。個人的にもポテンシャルは高いと思うのでリスナーにももう少し評価されてもいい気がする。
SEPTALUCK「Never Looking Back」
2012年結成されたポップパンクバンド。
紆余曲折あり、2018年7月からボーカル「fin」のソロプロジェクトのような形になってしまったが、ボーカル以外はサポートを迎え一応バンド形態で活動している。そんなSEPTALUCKも新譜がリリースされたび必ずチェックするお気に入りである。
本作はメンバーが独りになって初めての音源だが、以前から曲作りも含めバンドのイニシアチブをfinが執っていた(ような気がする)のでサウンドの変化はほとんどない。
この変わらないサウンドは、finが以前在籍していた「stack44」というバンドの頃からである。世間の流行りがどうなろうが愚直に自分の信じた古臭いポップパンクだけを鳴らし続けている。
世界的には、ここ数年「ポップパンク・リバイバル」が叫ばれているが、海外のポップパンクバンドの場合はヒップホップに寄せてみたり、メタル的なアプローチをしてみたり、確実にモダンな方向へと舵を切っている。だがSEPTALUCKにそれはない。
もはや彼の心に「売れたい」と思う気持ちはないのかもしれない。以前は英詞ばかりだった歌詞に、日本語を混ぜているところを見ると、それは言い過ぎかもしれないが、私にはそんな風に思えてならない。明日いなくなっても後悔しないよう、好きな音楽だけを鳴らしているような気がするのだ。
私はSETALUCKのそんな姿に惹かれるのである。
THE BACK HORN「Running Away」
2018年リリースのミニアルバム「情景泥棒」収録曲。
曲中に挿入されるマリンバ(木琴の一種)の音色が特徴的なバックホーンらしい、疾走感溢れるミニアルバムを代表する一曲。
別の記事でも書いたけれど、この曲は古参ファンの評判が悪いようだ。
バックホーンと言えば、(現在はまったくそんな事はないが)破滅的な世界観が売りであり、一聴するとサウンドは分かりやすく、「前を向いて走ろうぜ!」的に映るこの曲は、たしかに評価が別れそうである。でもしっかり歌詞を聴いてみてほしい。
「必要じゃない」なんて誰にも言われちゃいないのに
「もういっそ消えようか」 感傷に染まってる闇夜 暴いて
楽曲から察するに、昔に比べ随分安定しているように見える近年の菅波栄純だが、彼の心は未だギリギリで、何かのきっかけで壊れてしまう状態なのだ。この歌詞をどう捉えるかは聴き手によって様々だと思うが、私は栄純の心の叫びは今もあの頃と変わらず続いている気がする。
Nothing’s Carved In Stone「Who Is」
2019年リリースのアルバム「By Your Side」 収録曲。
アルバムをリリースするごとに、最高を更新し続けるナッシングスだが、「By Your Side」というアルバムも、ファンの大きな期待を軽々と超越する、至極の音楽体験ができる名盤である。
こちらの「Who is」という楽曲は、アルバムリリースに先駆けてMVが公開されていたのだが、あまりも緻密なアレンジに度肝を抜かれ聴き狂った。メンバーそれぞれが、持てるスキルのすべてを注ぎ込んだかのような鬼気迫るプレイが冴えわたっている。その衝撃は今現在も続いており、当分おさまりそうもない。
邦楽ロック最高峰のバンドアンサンブルで、色々な音があちこちから聴こえてくる。それなのに、しっかりと歌が聴こえる抜群のバランス感覚。それぞれの楽器単体で聴いてみると、好き勝手暴れまわっている印象なのに、ひとつの曲として意識して聴いてみると、しっかりナッシングスの音になっている。化け物ぞろいのメンバーなのは重々承知していたがこれほどまでとは。
インタビューで生形真一が語っていたのだが、「Who is」はリフから作ってそこへメロディを乗せたそうだ。感覚で言えばLed Zeppelinに近いのだと。サビはまだおとなしいアレンジなのでメロも乗せやすいかもしれないが、歌を聴かせるようなアレンジになっているとはいえ、Aメロのような変態リフにメロを乗せて全く違和感がないという衝撃。見事としか言いようがない。
こうしたサウンドの邦楽オルタナ系でナッシングを超えるバンドって存在するんですかね??これは煽っているわけではなく素朴な疑問です。
まとめ
こうして改めてまとめてみると、邦楽は洋楽以上にメロディ重視で聴いていることが分かった。洋楽に関してはメロディのないジャンルも数多く聴いているので、ここでバランスをとっているのかもしれないな。
どの曲も阿保なのかというほど聴きまくったが、その中でも一番聴いていたのはACIDMANになるのかな。ほぼ全曲同率首位みたいなもんですが。
下半期も余裕があれば、またベストソングを決めたいと思っていますのでよろしくお願いします。
それではまた。
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