のりオト。

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Dragon Ashのkjはヒップホップをやめていない【ジブラとの確執】

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Dragon Ash のkj(降谷建志)はZeebraにディスられてヒップホップをやめたのですか?

 

こういった主旨の質問がYahoo知恵袋にはたくさん投稿されている。

 

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その昔Dragon Ashは凄まじい人気があった。飛ぶ鳥を落として落ちた鳥をさらにボコボコにするくらいの勢いだ。2018年現在でも十分売れているが2000年に入るまでの彼らと比較すると「人気」の次元が違う。そんな人気絶頂のDragon Ashにある日事件が起きる。

 

2000年にリリースされたシングル「Summer Tribe」。

 

このシングルで降谷建志は、当時人気のあったラッパーZeebraの完コピともいえる歌唱法やステージングの模倣をやってのけた。今はどうか知らないが、当時のkjはZeebraを心から尊敬しており好き過ぎるゆえの愛ある行動だったようだ。

 

でも真似されたZeebraは(当然だと思うけど)面白くなかったようで、当時Zeebraが在籍していたキングギドラというヒップホップユニットの「公開処刑」という楽曲で名指しでディスられてしまう。このニュースが飛び交ったとき世間は大きく揺れたと記憶している。

 

当のkjは愛情表現のつもりで真似をしていたわけだから悪気はなかったと思うし、「公開処刑」を聴いたとき凄まじいショックを受けただろうと容易に想像できる。

実際大きなショックを受けたkjはしばらくの活動休止後、その音楽性を変え、ヒップホップ業界から退場したというのが「Summer Tribe」を発端とした騒動の結末。

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これがこの騒動に関する世間一般のイメージです。実際知恵袋にもそういった見解の回答が多数見受けられました。でも多くの人が間違った認識をしています。

 

そもそもDragon Ash はヒップホップではない

今回の記事で私が言いたいのはこれに尽きます。Dragon Ashはヒップホップなんて一度もやっていないのでヒップホップ業界を退場したとかヒップホップをやめたとか見当違いなんです。あと、「やめたやめた」さんざん言われてましたけど、騒動以後もラップ普通にやってましたし。

 

だから、「Zeebraにディスられてヒップホップをやめたのですか?」

の回答は「HIPHOPをやめたのではなく、HIPHOPはそもそも始めていない」が正解です。

 

Dragon Ash はミクスチャーバンドである

実際「I LOVE HIPHOP」なんて恥ずかしいタイトルのシングルもリリースしてます。また純粋なヒップホップの楽曲も発表しているDragon Ashですが、kjは一度だって「自分らはヒップホップをやっている」なんて言ったことありません。それにラップをやっている人間が全員ヒップホッパーなのかと言えばそうではありません。

 

そもそもインディーズの頃のDragon Ashは「MAD CAPSULE MARKETS」譲りのハードコア色の強いバンドでした。純粋なハードコアナンバーの名曲も多数生み出しています。

 

3ピース時代のこれとか最高にかっこいい↓

 「天使ノロック」が収録されたアルバム。

捨て曲なしでこれまた最高です。いまでもよく聴きます。

 

こうしたマッドに影響を受けたハードコアナンバーの一方で、当時のマッドがときおり見せる、「ハードコアを基調としてラップを導入した楽曲」のような感じでkj自身も楽曲へラップという手法を取り入れていた印象があります。

 

驚くほど売れなかったデビュー当時の彼らは試行錯誤を繰り返します。がっつりグランジをやっていた時期もありました。

そしてなんとか念願のブレイクを果たしますが、そのころにDragon Ash流ミクスチャーロックの原形が生まれたのだと思います。そうした経緯にいたった要因として当然海外でのミクスチャー人気も大きく影響しているでしょう。その後も多彩な音楽ジャンルとクロスオーバーし現在の地位を獲得します。

 

 

つまりDragon Ashというバンドは誰が何と言おうとミクスチャーバンドなんです。「自分たちだけの音楽」を追求しさまざまなジャンルを経験したからこそ到達できたミクスチャーというゴール。

 

HIPHOP(ラップ)に関してもそれはあくまで「Dragon Ashの音楽」を彩る装飾品のようなもので、いつの時代であってもHIPHOPが彼らのすべてだったことはありません。「ロック」という基盤があってそこへHIPHOPの要素を取り入れただけ。

 

実際、当時はDragon AshがきっかけでHIPHOPを聴くようになったリスナーもかなりいると思います。だからこそ「Dragon AshHIPHOP」というイメージなってしまうのは仕方ないことではありますね。

 

でもあくまでHIPHOPの方法論を取り入れただけで、Dragon Ashのルーツにあるのはロックやハードコアなんだと認識していただけたら幸いです。